【ワシントン=塩原永久】米交流サイト大手フェイスブック(FB)のザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は26日、差別的な内容や偽情報を含む不適切な投稿への対応を強化する方針を発表した。投稿者が政治家や政府関係者らの要人であっても、社内規定に反する投稿内容には注記を表示し、利用者に注意を促すとしている。
米ツイッター社は5月以降、白人警官による黒人暴行死事件などに関するトランプ米大統領の投稿が、暴力賛美に当たるなどとして注意喚起のラベルを表示した。投稿を静観したFBは対応が不十分だと批判を浴びていた。
ザッカーバーグ氏は26日に公開したビデオで、「敵対的で扇動的な表現を禁じるために一層努める」と述べた。これまでは、政治家の発言には利用者に伝える「公益性」があると位置づけ、掲載を続けてきたが、今後は「政治家も例外ではない」と強調した。
11月の大統領選に関連した投稿への対処も強める。「投票者を監視する」などと投票を抑圧したり、偽情報を含んだりする内容の場合は、ただちに削除するという。
黒人暴行死事件を受けた抗議デモが全米に拡大する中、人権団体などが、ヘイトスピーチなどへの対応で出遅れているFBへの広告停止を呼び掛け、賛同する企業が増えている。
アウトドアブランドのパタゴニアや、米通信大手ベライゾン・コミュニケーションズに続いて、英・オランダの家庭用品・食品大手ユニリーバが26日、FBやFB傘下のインスタグラムへの広告掲載を一時停止すると発表した。日系企業ではホンダの米国法人が、7月の1カ月間、FBとインスタグラムへの広告掲載を見合わせる。