サントリーホールディングスの新浪剛史前会長が3日午後、突如として会見を開き、世間を騒がせたサプリメント購入を巡る問題について詳細を説明しました。麻薬取締法違反の疑いが浮上し、結果的に会長職を辞任する事態に発展したこの件で、新浪氏は約1時間にわたり自身の潔白を強く主張。この会見は、彼が経営トップを退いた後の初の公の場であり、その発言に大きな注目が集まりました。本記事では、一連の疑惑の経緯と、新浪氏が会見で語った内容を詳しくお伝えします。
福岡の男逮捕が発端、新浪氏宅を家宅捜索
新浪氏に疑惑が浮上するきっかけとなったのは、2025年7月に福岡県に住む一人の男性が逮捕されたことでした。この男性は、日本では違法とされている大麻由来成分「THCを含む錠剤」をアメリカから密輸した容疑がかけられていました。この捜査の過程で、問題の「錠剤」の送り先が偶然にも新浪氏の自宅と判明。事態を重く見た警察は、8月に新浪氏の自宅に対し家宅捜索を実施しました。このニュースは、経済界に大きな衝撃を与え、新浪氏の動向に注目が集まることとなりました。
サントリーホールディングスの新浪剛史前会長がサプリメント問題に関する会見で発言する様子
違法製品見当たらず、簡易検査も陰性…それでも辞任の背景
家宅捜索にもかかわらず、新浪氏の自宅からは違法な製品は見つかりませんでした。さらに、新浪氏自身に対して行われた簡易の尿検査も陰性という結果でした。新浪氏は、一貫して「適法であるとの認識のもとにサプリメントを購入した」と説明しており、法的な問題はないという立場を堅持していました。しかし、この一連の騒動は、サントリーホールディングスの経営に影響を与えざるを得ませんでした。サントリーHDの鳥井信宏取締役社長は9月2日、「新浪氏と協議をしたところ、本人から『一身上の理由により役職を辞任したい』との申し出を受け、9月1日付けで受理した」と発表。新浪氏は約10年間にわたり務めた経営トップの座を退くことになりました。
サプリメント問題の会見で深く頭を下げる新浪剛史氏、社会への謝罪を示す
「法を犯していない、潔白」新浪氏が語る購入と廃棄の経緯
3日の会見で新浪氏は、購入したサプリメントについて「適法な商品と認識していた」と改めて強調しました。購入の動機としては、「海外出張が多く時差ボケがひどい」「良質な睡眠をとる上で非常に役立つと感じた」と、自身の健康維持のためであったことを説明しました。しかし、輸入経路に関しては、知人から「ドバイ経由で帰国する際に問題があるかもしれない」とのアドバイスを受け、知人が日本に持ち込み、その後新浪氏の自宅に送付する手はずになったと述べました。
ところが、新浪氏の自宅に送られたとされるサプリメントは、家族とのある約束によって廃棄されたといいます。新浪氏は、「送り主がよくわからない物が送られてきた場合は廃棄する」という家族間のルールがあったため、家族が当該のサプリメントを廃棄したと考えていると説明しました。さらに、福岡県で逮捕された男性が、前述の知人の弟であったことも明かされました。
新浪氏は、「2回目としてサプリメントを福岡県在住の弟さん宛てに郵送し、その弟さんに私の自宅に送るようにという依頼をしていたところ、その弟さんが逮捕されてしまいました」と述べ、この2回目の郵送に関しては自身にとって「全くの想定外」であり、輸入自体を知らされていなかったと主張しました。また、2回目に郵送されたものが自身が購入したCBDサプリメントであるかどうかも不明であるとしています。これらの経緯から、新浪氏は「サプリメントを摂取していない」「2回目は輸入するよう指示もしていない」と繰り返し強調しました。
最終的に新浪氏は、「ゆえに私は法を犯しておらず潔白であると思っております」と自身の無実を主張。しかし、「結果的に、私がこのCBDサプリメントを購入したことに端を発してこのようなことになってしまったことは、私の不注意であり、社会をお騒がせしたことに対してお詫びを申し上げたい」と述べ、社会的な責任を認め謝罪しました。サントリーホールディングスの会長辞任については、「大好きなサントリーにこれ以上迷惑をかけてはいけない」「納得している」と語り、会社への配慮を示しました。
一連の騒動と新浪氏の潔白主張は、国際的なサプリメント規制の複雑さや、企業トップのプライベートな行動が社会に与える影響の大きさを浮き彫りにしました。
参考文献:
- FNNプライムオンライン
- 「イット!」2025年9月3日放送