サントリー新浪会長が辞任、大麻由来成分サプリ巡る福岡県警の捜査が発端

サントリーホールディングス(HD)は2日、新浪剛史会長(66)が1日付で辞任したと発表した。この辞任劇の背景には、新浪氏が購入したサプリメントが大麻由来の違法成分を含む疑いがあり、福岡県警の捜査対象となったことが挙げられる。経済界の重鎮の突然の辞任は、日本社会に大きな波紋を広げている。

サントリーHD、新浪氏辞任の経緯と鳥井社長の対応

サントリーHDは、新浪氏が購入したサプリメントに大麻由来の成分が含まれる違法の疑いがあり、福岡県警の捜査対象となったことを確認。取締役や監査役の全員が一致して辞任を求める方針を固め、新浪氏から「一身上の理由」とする辞任届を1日に受理した。
これを受け、サントリーHDの鳥井信宏社長は2日、都内で記者会見を開き、「皆様にご心配、ご迷惑をおかけし、心よりおわびする」と深く頭を下げた。鳥井社長は、新浪氏から「適法であるとの認識の下に購入したサプリメントに関して捜査が実施された」との説明があったと明かしつつ、「購入したサプリメントは当社グループ商品ではない」と強調し、風評被害の拡大防止に努めた。

サントリーHDの鳥井信宏社長が新浪剛史会長の辞任に関して記者会見を行う様子サントリーHDの鳥井信宏社長が新浪剛史会長の辞任に関して記者会見を行う様子

新浪氏の要職とコメント

新浪剛史氏は、2023年4月から経済同友会の代表幹事を務め、また政府の経済財政諮問会議の民間議員を長期間にわたり担当するなど、日本経済界において非常に影響力のある人物だった。今回の辞任について、新浪氏自身は「会長の仕事を続けられなくて残念」とのコメントを発表している。

福岡県警による捜査の詳細

捜査関係者によると、門司税関(北九州市)から「日本では違法性の疑いがある薬物類の輸入」に関する情報提供を受け、福岡県警は8月22日、都内の新浪氏の自宅などを家宅捜索した。幸いにも違法薬物は見つからなかったが、県警は新浪氏が違法性を認識していたかを含め、刑事責任の有無について慎重に調べている。問題の薬物類は新浪氏の知人が米国から送ったとみられ、大麻由来の成分を違法な割合で含み、腰痛や不眠に効果があるとされていた。

記者会見での質疑応答

鳥井社長は記者会見で、薬物関連の質問に対しては「捜査中」であることを理由に詳細を避けた。「購入したサプリの名称は何か」「米国では合法なのか違法なのか」といった報道陣からの具体的な問いには「商品に対して申し上げることはできない」と回答。また、「新浪氏が『クーデターではめられた』と発言していた」という情報に対しては、「はめられるなら社長やと思いますんで。ないと思います」と完全否定し、憶測を一蹴した。

今回のサントリー新浪剛史会長の辞任は、一企業のトップに留まらず、日本経済界全体に衝撃を与えた。違法薬物問題への関与の疑いは、社会的な影響も大きく、今後の捜査の進展と、経済同友会代表幹事などの後任人事にも注目が集まる。日本企業におけるコンプライアンスの重要性が改めて浮き彫りになる事例と言えるだろう。

ソース: 報知新聞社 (Yahoo!ニュース経由)