伊東市 田久保眞紀市長、不信任決議後の「粘り」とその政治的結末:市長失職は避けられないのか

静岡県伊東市の田久保眞紀市長が、市議会から全会一致で不信任決議を可決され、「どのみち“詰んでいる”」と指摘される状況にもかかわらず、その職に固執する姿勢が注目を集めている。議会や市役所関係者の間では、その背景に「カネ目当て」があるのではないかという疑念も聞かれ、市長が今後どれだけの給与を受け取るのかという試算までなされている。本記事では、田久保市長の置かれた現状と、失職に至るまでの政治的プロセス、そしてその結末がなぜ避けられないのかを詳細に分析する。

市議会解散と「市長派議員」確保の困難

不信任決議が可決されたことを受け、田久保市長は市議会の解散に踏み切ると見られている。地方自治法に基づき、議会解散後40日以内に市議会選挙が実施される。伊東市関係者によると、市長は周囲に9月10日の市議会解散、10月19日(日曜日)の市議選実施を予定していると語っている。

市議選後、新たに招集される議会で再び不信任決議案が提出されることが確実視されている。そこで再可決されれば、市長は失職となる。決議の再可決には、「3分の2以上の出席」と「過半数の賛成」が必要だ。田久保市長がこれを阻止するには、19人の市議のうち少なくとも7人以上を「市長派」として当選させる必要がある。これは出席条件の3分の2を満たさせないための戦略だが、現状では「市長派議員」を7人どころか1人当選させることさえ厳しいと見られている。市長に近いとされる議員が2人出馬準備を進めているものの、擁立できるのは最大でも4〜5人が限界とされ、市長を支持する市民は約1000人程度、前回の最低当選ラインが700票であったことを考慮すると、その困難さは明らかだ。

伊東市の政治混乱の渦中にある田久保眞紀市長の公務中の様子伊東市の政治混乱の渦中にある田久保眞紀市長の公務中の様子

共産党の姿勢転換と失職への必然

これまで、日本共産党の重岡秀子市議は議会内で唯一の“市長派”と見なされてきた。しかし、状況は大きく変化している。日本共産党静岡県委員会と同伊豆地区委員会は8月29日に「田久保氏は辞任すべき」との声明を発表。これに従い、重岡市議も田久保市長寄りの姿勢を改め、今回の不信任決議には賛成に回ったという。

このように、市長が市議会を解散して時間を稼ごうとも、新たな議会で不信任決議案が再可決され、失職することは避けられない運命にある。現状、田久保市長が職を続ける唯一の道は、失職後の出直し選挙で「神風」に期待するしかない。

不信任決議再提出までの長期化の理由

不信任決議案が再提出されるのはいつになるのか。伊東市議会の青木敬博副議長は「12月1日が濃厚」と語る。市議選が10月中に終了するにもかかわらず、なぜそれから1カ月以上も待たなければならないのだろうか。

その理由は、不信任決議案を提出するために臨時会を招集する必要があるが、この時点では議会側に議長が存在せず、議会を招集する権限が市長にしかないからである。田久保市長がこの状況を利用し、議会側の要求を無視し続けることが想定されるため、議会側は12月1日から始まる定例会を待たざるを得なくなるという。この間の市長の「粘り」が、さらなる政治的混乱を招く可能性も指摘されている。

結論

伊東市の田久保眞紀市長は、不信任決議の再可決により、その職を失うことがほぼ確実な状況にある。市議会解散による時間稼ぎも、市長派議員の確保の困難さ、そしてかつての支持勢力であった共産党の姿勢転換により、その効果は限定的だ。不信任案の再提出が遅れる可能性はあるものの、最終的な失職は避けられないものと見られている。この一連の政治的混乱は、伊東市政の安定に影を落とし、市民の信頼回復が急務となっている。

参考文献