イスラエル、西岸併合協議を本格化 パレスチナやアラブが批判






 【カイロ=佐藤貴生】イスラエルのネタニヤフ政権は、7月からヨルダン川西岸地区にあるユダヤ人入植地などの併合に関する協議を本格化させる方針だ。第3次中東戦争(1967年)でイスラエルが占領した西岸はパレスチナ側が「将来建設する独立国家の領土」と位置付けており、併合を強行すれば国際的に批判が高まるのは必至だ。

 5月にネタニヤフ首相の右派「リクード」と野党の中道政党連合「青と白」の二大勢力の連立によって成立した政権は、併合に向けた議論を7月から始めることで合意していた。イスラエル寄りのトランプ米政権が1月に発表した中東和平案に基づくもので、ネタニヤフ政権は閣議などで方針を話し合う見通しだ。

 西岸には推定約300万人のパレスチナ人に加え、点在する130以上の入植地に約40万人のユダヤ人が住む。議論の対象になるのは入植地やヨルダンとの境界をなすヨルダン渓谷で、西岸の約3割に当たる。

 入植地にはユダヤ人しかいないが、ヨルダン渓谷にはユダヤ人約1万人のほかにパレスチナ人が6万5千人住んでいるとされる。併合すればパレスチナ人の政治参加など複雑な問題が噴出することは確実だ。

 西岸を統治するパレスチナ自治政府のアッバス議長は、過去に結んだ協定を含め、イスラエル側とのすべての関係を断絶すると述べ、併合の動きを強く批判してきた。

 ヨルダンは1994年締結のイスラエルとの平和条約の破棄も示唆。アブドラ国王は今月中旬、米議会議員とのテレビ会議で「地域の平和や安定を害する」と訴えた。中東のアラブ諸国でイスラエルと平和条約を結んでいるのはヨルダンとエジプトだけで、併合を強行すれば周辺国との外交にも影響を及ぼしかねない。

 国連のグテレス事務総長も今月下旬、「併合は最も重大な国際法違反だ」と併合計画の撤回を求めた。

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