静岡県浜松市のガールズバーで発生した刺殺事件は、地域に大きな衝撃を与えている。この[浜松 ガールズバー 事件]で命を落とした店長の竹内朋香さん(27)の夫が、現在の心境と事件への怒りをメディアに語った。およそ30分に及んだ夫の言葉から、突然妻を失った深い悲しみと、未だ明らかにならない事件の背景への複雑な思いがうかがえる。
事件の概要と捜査状況
事件は7月6日午前1時頃、JR浜松駅からほど近い歓楽街にあるガールズバーで発生。山下市郎容疑者(41)が店員の伊藤凛さん(26)を連れ来店し、勤務中の店長・竹内朋香さんを所持していたナイフで複数回刺した。さらに、逃げようとした伊藤さんにも襲いかかり、竹内さんと伊藤さんの二人は搬送先の病院で死亡が確認された。
犯行に使用されたのは、「ククリナイフ」と呼ばれる殺傷能力の高い特殊な刃物だった。捜査関係者は、容疑者が計画的に凶器を用意し、強い殺意をもって犯行に及んだとみている。8日には容疑者の自宅アパートの家宅捜索が行われ、警察はナイフの入手ルートや詳細な犯行動機について、引き続き慎重な捜査を進めている。
容疑者と被害者たちの関係性
警察関係者の間では、山下容疑者が店員の伊藤さんに好意を寄せていた可能性が指摘されている。両者の間に何らかの「トラブル」があり、店長の竹内さんがそれに巻き込まれてしまったという見方も出ている。
山下容疑者はこのガールズバーの「常連客」だったとされ、事件の2日前にも伊藤さんと食事をしていたことが確認されている。これは伊藤さんが容疑者にとって「お気に入り」のスタッフであったことをうかがわせるが、亡くなった店長の竹内さんとの間にどのような関係性があったのかは、現在のところ明らかになっていない。
竹内さんが店長を務めていたガールズバーは、2023年12月に竹内さんの夫がオープンした店だ。もともと夫が2016年頃から経営していたバーを改装した場所で、その後、夫婦二人で切り盛りしていたという。
亡くなったガールズバー店長、竹内朋香さん(中央)と店のスタッフたち
夫が語った悲しみと怒り
事件後、亡くなった竹内さんの自宅を記者が訪ねると、夫が取材に応じた。「俺だって(事件の原因は)なにもわからない。こっちが知りたいよ。ひとつ言えるのは、死んだヤツはなにも言えないし、死んだら終わりなんだよ!」と、怒りや混乱、そして無念の思いを剥き出しに語った。この30分間の証言は、遺族が直面する筆舌に尽くしがたい苦悩を物語っている。
浜松ガールズバー刺殺事件で妻を亡くした夫が取材に応じる様子
警察は山下容疑者の逮捕後も、犯行の動機や詳細な経緯について捜査を続けている。なぜ竹内さんが事件に巻き込まれてしまったのか、その全容解明が待たれる。残された夫の深い悲しみと、事件の闇は未だ晴れていない。