自民党で、衆院比例代表候補の「73歳定年制」の存廃をめぐる世代間抗争が一時休戦となった。30日の総務会で撤廃を求めるとみられていたベテランが存続を主張する若手との対立を避けるため、議題に上げなかったためだ。ただ、双方の溝は埋まっておらず、次の衆院選が近づけば議論が再燃する可能性がある。
「撤廃について先輩方から提起がなかった。これで議論終了と認識している」
存続派の小林史明青年局長(37)は総務会後、記者団に議論は決着したと強調した。撤廃派の平沢勝栄広報本部長(74)と申し合わせたことも明らかにし、「新型コロナウイルス対策を最優先すべきだということをご理解いただけた」と満足げに語った。
73歳定年制は、衆院比例候補の選定基準を「公認時に73歳未満」とし、基準を超える候補は、選挙区に出馬した場合でも比例の重複立候補を認めない制度だ。
衛藤征士郎元衆院副議長(79)や竹本直一IT・科学技術担当相(79)らベテラン勢が、安倍晋三政権が掲げる「人生100年時代」に逆行するなどとして撤廃を主張し、一方の若手は党内の世代交代を促す必要があるとして堅持するよう求めていた。
賛否は党幹部の間でも分かれ、対立は双方が署名を集め合う事態に発展した。30日の総務会で直接対決するとみられていたが、一部の党幹部が「マスコミが面白がる」と火消しに回ったという。とはいえ、ベテラン勢は考えを曲げておらず、対立の火種はくすぶったままだ。(広池慶一)