梶山弘志経済産業相は3日の記者会見で、二酸化炭素(CO2)の排出量が多い非効率な石炭火力発電について、令和12年度までに「できる限りゼロに近づける」と表明した。規制を導入して、電力会社に発電所の休廃止を促す方向。高効率の石炭火力は維持しながら、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを重視し、効率的にCO2削減を進めたい考えだ。石炭火力の輸出に関する政府支援の要件の厳格化を検討していることも明らかにした。
梶山氏は「エネルギーの安定供給に万全を期しながら脱炭素社会の実現を目指すために、より実効性のある新たな仕組みを導入する」と説明。月内に有識者会議を立ち上げる。
政府は平成30年発表のエネルギー基本計画で、非効率な石炭火力の縮小方針を明記。30年度の電源構成で全体の32%だった石炭火力を令和12年度に26%まで減らすとしていた。発電量ベースで石炭火力の5割を占める非効率設備による発電を削減し、達成を目指す。
国内140基の石炭火力のうち非効率な石炭火力は114基で、9割弱の100基程度が休廃止の対象となる見込みだ。非効率設備の発電量の上限を電力会社ごとに設定し、各社がその達成に向けて徐々に削減する手法などが想定される。
高効率な石炭火力は維持し、活用を続ける。梶山氏は「資源のないわが国にとって、調整力として火力も有用な電源だ」と強調した。欧州などでは全ての石炭火力を地球温暖化の元凶として否定的にみる向きもあるが、政府は“日本式”の温暖化対策を進める。
梶山氏は事業者への業務改善の勧告などを行う「電力・ガス取引監視等委員会」と、全国の電力供給の調整をする「電力広域的運営推進機関」の体制を見直すことも明らかにした。