メールで「~してください」を「~して下さい」と漢字で書く人が知らない事実


● 漢字とひらがな 使い分けの大原則

 日本語では同じ語がさまざまに書き表されることがあります。例えば、「ヒトリ」という語は、「ひとり・一人・独り・1人」などと書かれます。これらはいずれも間違いではありません。こういう現象は「表記のゆれ」と呼ばれます。

 表記のゆれが生じる原因の1つは、日本語表記におけるルールの不完全さです。しかし、それだけでなく、表記する人によって違うことも、あるいは同じ人でも状況によって表記が異なることもあります。つまり、表記する人や状況に応じて表記は変化するのです。

 ここでは、表記のゆれのうち、漢字と平仮名のゆれを取り上げます。漢字と平仮名のどちらでも書かれやすい語があります。例えば、「あいさつ/きのう/くださる/ほしい」などです。

 これらのゆれが生じやすい理由を考える前に、漢字と平仮名の役割について確認しておきましょう。次の例文を見てください。

 昨年も日本でとても大きな災害が起こってしまった。
 この文を、意味の切れ目を示す文節で区切ると、次のようになります。

 /昨年も/日本で/とても/大きな/災害が/起こって/しまった/
 文中の/で区切られた部分は、多くは漢字で始まり平仮名で終わっています。例外は「とても」「しまった」です。

 文節の多くは「自立語+付属語(助詞・助動詞)」という構成です。そして、自立語が漢字で書かれ、付属語が平仮名で書かれると、「漢字始まりで平仮名終わり」という形になるのです。



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