独自のDNA分子製造技術 コロナのワクチン開発でタカラバイオが存在感 





遺伝子解析の研究開発拠点としては国内最大規模となるタカラバイオの遺伝子・細胞プロセッシングセンター=滋賀県草津市(同社提供)

 新型コロナウイルスの感染予防で期待が高まる国産ワクチンの開発で、宝ホールディングス(HD)傘下のバイオ事業会社、タカラバイオ(滋賀県草津市)が脚光を浴びている。大阪大と創薬ベンチャーが自治体などと共同で進める新型コロナのワクチン開発に3月から参画。長年培ってきた遺伝子関連の技術を生かし、新型コロナ検査用試薬製造で検査体制の構築にも貢献するなど、存在感が高まっている。(山本考志)

 「コロナ前から遺伝子治療の社会実装を目指して培ってきた技術がある」

 タカラバイオの仲尾功一社長は8日、大阪商工会議所などが主催した新型コロナのワクチン開発に関するオンラインセミナーで自社の技術力をこうアピールした。

 同社は3月から、大阪大の森下竜一教授と創薬ベンチャーのアンジェスが中心になって進める「DNAワクチン」の共同開発に参画。DNAワクチンはウイルスのDNA情報を使って人体に免疫を与える仕組みで、弱毒化ワクチンなどと異なり病原性を持たないため、実用化に期待が高まっている。

 平成14年設立のタカラバイオは宝HDのバイオ部門が前身。現宝HD会長の大宮久氏が遺伝子組み換え技術の研究実験用試薬に着目し、昭和54年に国産初の制限酵素試薬を発売した。63年にはPCR法による遺伝子増幅システムの国内独占販売権を獲得している。

 この当時、PCR技術の開発担当者だった仲尾社長は、DNA鑑定による個人特定など法医学分野への応用で警察の研究機関と協力したこともある。PCR技術は現在、食品検査や植物の品種検査、水質検査など、さまざまな分野で活用されている。

 中国・武漢市で新型コロナの感染拡大が先行していた1月下旬、学術誌で発表されたPCR検査法に関する論文で同社の試薬が使われたことから、主力工場がある中国・大連市政府の要請で検査用試薬の増産に対応。日本でも2月には試薬キットを発売し、検査体制の構築に貢献してきた。

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