「藤和の苑」コロナ集団感染 初動の遅れ、施設の感染管理不十分 群馬県が検証報告書で指摘 





クラスターが発生した有料老人ホーム「藤和の苑」=4月、伊勢崎市(橋爪一彦)

 群馬県は9日、入居者や職員ら計68人が新型コロナウイルスに集団感染し、16人が死亡した有料老人ホーム「藤和の苑」(伊勢崎市)への対応に関する検証報告書を公表した。感染拡大を招いた要因として、4月6日の第一報からPCR検査で陽性が判明するまで4日かかった初動の遅れや施設内の不十分な感染管理などを指摘した。

 山本一太知事は9日の会見で「初動に遅れがあった。北関東最大のクラスター(感染者集団)を教訓に二度と繰り返してはならない」と述べた。

 県が第三者を交えてまとめた報告書によると、施設側は伊勢崎保健所への4月6日の第一報で、入居者5人が発熱したと報告。しかしPCR検査は8日にずれ込み、陽性診断は翌9日だった。報告書は第一報から検査までのタイムラグを問題視し、「第一報の時にコロナの可能性を考慮すべきだった」と指摘した。

 初動が遅れた背景としては、同じ時期に管内の玉村町の福祉事業所で感染者が出たことなどで業務量が急増。「職員の負担が過重となっていた」と説明した。

 施設側はホームページ上で、4月7日にPCR検査を依頼したが「検査不可」だったと主張。だが、報告書は「保健所側に相談記録がなく(真相は)明らかにできなかった」とした。

 感染拡大の要因としては他に、職員の防護服の着脱トレーニングが不十分だったなど感染管理の不徹底を挙げた。県は今後、施設に感染症予防対策の責任者を選出してもらい、施設の状態の報告を求めるなど指導を強める。

 また、職員らがウイルスを持ち込んだ可能性が考えられるとしながらも、特定には至らなかったとした。



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