「待ってました!」
新型コロナウイルスの感染拡大で中止されていた東京・歌舞伎座での公演が5カ月ぶりに再開される。8月1日に初日を迎える「八月花形歌舞伎」は感染予防のため、これまで例のない4部制の総入れ替えで上演される。製作発表記者会見が7月13日に歌舞伎座で開かれ、各演目の出演者らが公演を前にその思いを語った。(水沼啓子)
歌舞伎座での公演再開にあたり、松竹では政府のガイドラインに沿いながら、国立国際医療研究センターの医師らから感染予防対策について直接指導を受けたという。
劇場入口付近に赤外線サーモグラフィーを設置し、来場者の体温測定を実施。客席の前後左右を空けてソーシャルディスタンスにも配慮する。観劇時はマスク着用し、大向こうや掛け声は“ご法度”となった。出演者や公演に携わる舞台・運営スタッフ全員に抗体検査も実施された。
幕あいの混雑を防ぐため、1部1演目(1時間程度)、休憩なしで上演される。劇場だけでなく、楽屋も1部ごとに総入れ替えし、清掃、消毒を徹底。通常1~3階まで約1800人の観劇が可能だが、花道脇の席や桟敷席などには観客を入れず、約820席に絞るという。
安孫子正・松竹副社長は、特に歌舞伎座の換気能力は世界有数のレベルとし、「劇場は安全な空間。一人でも多くのお客さまに安心して劇場にお越しいただきたい」と、来場を呼び掛けた。
一方、第1部の「連獅子」で、親獅子の精を演じる片岡愛之助は自身発案の“奇策”を披露。「見得をして大向こうがないとガクッとくる。大向こうはSE(効果音)でもいいのではないかと提案したら、却下された」と苦笑いした。
中村勘九郎は、第2部の「棒しばり」に出演。「私が勤める次郎冠者は長い棒に手を縛られているわけなので、ソーシャルディスタンスが一番保たれている」と、記者会見場の笑いを誘った。