台湾・呂秀蓮元副総統 尖閣問題「中国に利用されるべきではない」「日本への抗議は筋違い」





7日、台湾北部・新北市内で産経新聞の取材に応じる呂秀蓮元副総統(矢板明夫撮影)

 【台北=矢板明夫】台湾の陳水扁政権(民主進歩党、2000~08年)で副総統を2期8年間務めた呂秀蓮氏(76)は14日までに産経新聞の取材に応じ、沖縄県石垣市による尖閣諸島(台湾名・釣魚台)の住所地表記変更に対し、台湾でも日本に抗議する動きがあることについて「中国に利用されるべきではない」とした上で、尖閣の領有権問題で「日本への抗議は筋違いだ」と述べた。

 呂氏は、台湾当局が尖閣諸島の主権を主張していることについて、「日本は米国が主導した1951年のサンフランシスコ平和条約で台湾の領有権を放棄したが、釣魚台の主権は放棄しなかった。米国は72年の沖縄返還で、釣魚台を日本に返した。この2つが今の状態を作っている」と説明した上で、「台湾が文句を言うなら米国に言うべきで、日本に抗議するのは筋違いだ」と指摘した。

 呂氏は米国留学中の71年、沖縄返還前に起きた台湾人留学生らによる「保釣運動」(釣魚台を守る運動)に参加した。だが、すぐに中国が学生指導者らを招待して合宿を開くなど運動に介入していることに気づき、身を引いたという。

 呂氏は、現在も「保釣運動の背後には中国の影があり、台湾と日本を対立させることで漁夫の利を得ようとしている」と指摘。「台湾は国際社会から国家として認められていないのに、釣魚台の主権を主張しても意味がない」と語り、「国際社会で台湾の生存空間を広げるなど、他に努力すべきことがある」と強調した。

 呂氏はさらに「今の蔡英文政権(民進党)は中国(大陸)から来た中国国民党政権の主張を踏襲している」と指摘。「専門チームを立ち上げ、台湾に主権があるのか研究すべきだ」とも述べた。

 その上で、尖閣周辺で日台双方の漁船の操業を認めた2013年の日台漁業取り決めについて、「主権を棚上げして協力する形は、国際紛争を解決する見本となる」とし、「歴史と文化のつながりが深い台湾と日本は、他の分野でも提携を強化すべきだ」と話した。



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