自民党麻生派(志公会、54人)は16日、東京都内のホテルで政治資金パーティーを開いた。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、各派閥がパーティーを秋に延期する中、次期総裁選に向けて先陣を切る形となった。派内では「ポスト安倍」候補として岸田文雄政調会長を念頭に置いた声がある一方、同派所属の河野太郎防衛相が出馬に意欲を示しており、結束を維持できるかが注目される。
「今、われわれは変化に挑戦する勇気を持たなければならない。志公会は政権のど真ん中で引き続き精進し、政権をしっかり支えてまいりたい」
派閥を率いる麻生太郎副総理兼財務相はパーティーでこう述べ、安倍晋三政権を支えていく姿勢を重ねて強調した。パーティーは新型コロナが収束しない中での開催となり、「3密」を防ぐためホテル内の3会場に入場者を分散。来場できない人のためにオンライン中継で視聴できるようにもした。また、従来の立食形式から着席に変更し、飲食物の提供は控えた。
安倍首相はビデオメッセージを寄せ、「第2次安倍政権の発足から7年半が経過した。この間、屋台骨として支えていただいたのが麻生氏だ」とたたえた。
安倍政権をど真ん中で支えてきた党内第2派閥の麻生派だが、ポスト安倍に関し足並みがそろうかは不透明だ。麻生氏の本命は首相も期待する岸田氏とみられるが、派内では発信力が強い河野氏が総裁選出馬に意欲を示しているためだ。
麻生氏は最近、派閥の結束を強めるため、当選同期同士で懇談を行うよう指示を出した。派閥幹部は「総裁選に向けた麻生会長の考えはまだ白紙だが、態度を決めたらそれで結束するのが派閥だ」と強調。河野氏の動向については「総裁選に出ると言っているが、いつの総裁選とは言っていない」と話す。
とはいえ、河野氏は中堅・若手を集めた食事会を繰り返し開くなど派内での浸透に力を入れる。以前はあまりみられなかった行動で、次期総裁選に出馬する可能性は否定できない。
他派閥の中堅議員は、河野氏が麻生氏の制止を振り切った場合、「派内からどれぐらいの議員が同調するのかが焦点になる」と指摘。その上で「麻生氏が分裂を避けるため『次は岸田』とならずに河野氏の挑戦を追認する形になれば、総裁選をめぐる状況は一気に変わる」と語った。(今仲信博)