赤羽一嘉国土交通相は17日の閣議後記者会見で、政府の観光支援事業「Go To トラベル」(22日開始)について、若者や高齢者の団体旅行の自粛を求めた。ただ、こうした旅行を実施するかどうかは旅行業者の判断に委ねられており、混乱を招く恐れがある。東京都を目的地とする旅行と都民は予約済みの分も含め補助対象外。観光庁は17日に発足した事業の事務局とスタートに向けた調整を進める。
トラベル事業は、国内旅行代金の半額を国が支援する事業で、22日からは旅行代金の35%分の割引を先行して始める。残る15%分は9月以降、旅先で買い物、飲食に使える地域共通クーポンを配る。
新型コロナウイルスの感染拡大が突出する東京都を目的地とする旅行や都民の旅行が除外されたことで、割引を当て込んでいた予約者からのキャンセルが相次ぐ可能性もあるが、政府はキャンセル料を補償しない方針だ。旅行会社にとっては東京の観光地を目的地とする旅行商品の見直しを迫られそうだ。赤羽氏は「安全対策上やむを得ないが、断腸の思いだ」と述べた。また、東京都を目的地とする旅行や都民の旅行をいつ補助の対象に含めるかは、「感染症が落ち着いた際に政府全体の方針を踏まえて検討する」とした。
若者や高齢者の団体旅行、大人数の宴会を伴う旅行も対象とするが、「控えるのが望ましい」(赤羽氏)という。
事業に登録する観光事業者や旅行者向けの参加条件も発表された。事業者に対しては、宿泊施設のチェックイン時に旅行者全員の本人確認と検温の実施、浴場や飲食施設で人数制限を設けることなどを義務付ける。旅行者に対しても、移動中にマスクを着用することや食事の席で大声の会話を控えることなどを求める。