猛暑で急増するエアコン室外機故障:命を守るための危険度と効果的な対策

連日続く危険な猛暑の影響で、エアコンの室外機の故障が異例のペースで増加しています。命を守るためにも必要不可欠なエアコンの故障を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか。専門家への取材を基に、その原因と具体的な対策について詳しく解説します。

記録的猛暑でエアコン室外機の故障が急増

街の電気店では、エアコン室外機の修理依頼が急増しています。栄電気の沼澤栄一代表は、その原因について「連日の猛暑によるモーターへの負荷が大きい」と指摘。外気温が高いと室外機のモーターに過度な負荷がかかり、故障につながる可能性が高まるという現状があります。

実際に屋外に設置された室外機をサーモカメラで見てみると、アスファルトと同じオレンジ色に表示され、本体自体が非常に高温になっていることが分かります。故障を経験した人からは「電源をつけても涼しくならず、ぬるい風しか出ない」「室外機が直射日光に当たっているからかもしれない」といった声も聞かれます。

東京都監察医務院の発表によると、6月16日から8月3日の間に東京23区内で熱中症の疑いで亡くなったのは60人。そのうち41人は屋内でエアコンを使用していなかったと報告されており、エアコンが使用できない状況が命の危険に直結することが浮き彫りになっています。

猛暑でアスファルトと同色になるエアコン室外機が故障の原因に猛暑でアスファルトと同色になるエアコン室外機が故障の原因に

室外機の危険温度は「43℃以上」?命を守るための対策とは

猛暑の最中に室外機の故障でエアコンが使えない状況は、まさに命の危険に関わる事態です。では、室外機は外気温が何度以上になると故障のリスクが高まるのでしょうか。

沼澤代表は、「JIS規格では外気温43℃が目安とされている」と語ります。しかし、現在の日本の気候は熱帯化しており、最高気温が32℃の日でも室外機周辺の温度は40℃に達し、中には50℃近くになることもあると言います。外気温が43℃を超えると故障の危険性が高まる室外機ですが、中には外気温50℃まで対応できるモデルも存在します。例えばダイキンでは5年前から50℃まで耐えられる室外機を製造しており、現在販売中のモデルは全てこの基準に対応しているとのことです。

エアコン室外機故障を防ぐ「日陰作り」と「適切な清掃」

今使っているエアコンの室外機を猛暑から守り、故障を防ぐためにはどうすれば良いのでしょうか。沼澤代表は具体的な対策をいくつか提案しています。

まず、日差し対策としてよく使われる「銀色のマット」には注意が必要です。「あれは効果がないですね。逆効果になる場合もある」と沼澤代表。天板だけでなく室外機全体を囲ってしまうと、風の流れが悪くなり、かえって排熱効率が落ちる可能性があるためです。すだれも同様に、全体を覆い尽くすのではなく「直接日光が当たらないよう、日陰を作ってあげる」イメージで使用することが重要です。

次に、室外機の裏側の清掃も非常に大切です。「動物の毛や、ベランダで洗濯物をパンパンと叩いた際に出る糸くずなどが吸い込まれている場合がある」ため、たまには室外機の後ろを覗いて掃除することが推奨されます。これにより、空気の流れが阻害されるのを防ぎ、室外機の効率的な稼働を維持することができます。

エアコン室外機を日陰にするすだれや後ろを清掃する様子エアコン室外機を日陰にするすだれや後ろを清掃する様子

猛暑が続く中、エアコンは快適な生活だけでなく、熱中症から命を守るための必需品です。室外機が故障しないよう適切な対策を講じ、この夏を安全に乗り切りましょう。

参考文献: