17日に閣議決定された骨太方針では在宅勤務などのテレワークの目標数値を設定するとしたが、中小企業にとって設備投資や人員の問題などから「高いハードル」になりそうだ。一方、同時に決定された成長戦略で引き下げを求めた銀行間送金手数料は、構造不況に陥る地方銀行にとり安定した収益源の1つ。大企業サイドに立った政府方針に、疲弊する中小や地方の企業から反発が広がりそうだ。(岡本祐大、松村信仁)
「(テレワークの推進方針は)大企業の事務職のことしか見ていないのではないか」。こう指摘するのは、東京都内の板金加工業の経営者だ。製造業の現場では「どうしても人が必要」なため、一律に目標を設定することへ疑問を示した。
東京商工リサーチが6月下旬から7月上旬にかけ1万4356社から回答を得た調査によると、現在テレワークを実施していると回答したのは、資本金1億円以上の企業で約55%。一方、1億円未満の中小企業では約26%にとどまった。
テレワークで出社時同様に仕事をするためにはパソコンやオンライン環境の整備が必要だが、経営が苦しい中小にはコストが課題となる。