【解説】日米関税協議…トランプ大統領が日本に“圧力”発言なぜ?今後の協議はどうなるのか?


■日米関税協議 トランプ大統領の“圧力”発言なぜ?

このような発言の裏には何があるのか。複数の政府関係者からは「トランプ大統領が日本を焦らせたい狙いがある」という声が聞こえてくる。貿易赤字解消のために関税を引き下げない姿勢を示すアメリカに対し、日本は国益を守るために関税を引き下げてほしいと訴えており、両者引かない激しい交渉が続いている。そのため、トランプ大統領は戦略として日本政府に揺さぶりをかけているというのだ。

6月30日には、日本へのコメの輸出に関してトランプ大統領は「日本は深刻なコメ不足にもかかわらず、我々からコメを買おうとしない」と不満を漏らした。この発言について、ある政府関係者は「トランプ大統領が本当に輸出を増やしたいと考えているのは自動車で、日本が自動車で動きを見せないから弱みであるコメで脅そうという魂胆だろう」と見立てている。

「発言がコロコロ変わる」「ブラフ(見せかけ)だろう」と、真に受けない方が良いとの見方が多い一方で、別の政府関係者からは「最近は特に日米間の交渉スタンスの溝が鮮明になっていて、厳しい状況。元からどう転ぶかわからないトランプ大統領だから何が起こってもおかしくない」などと不安視する声もあり、日本側は引き続き高い緊張感で交渉に臨むとみられる。

■交渉の行方は…自動車関連メーカーへの影響の広がり

しかし、自動車メーカーや部品メーカーへの影響は徐々に出始めていて、悠長にしていられる状況ではない。群馬県にある自動車の部品メーカーの担当者は、アメリカでの現地生産をできるだけ増やしたり、日本以外の関税率が低い国の工場で製造した商品をアメリカに輸出することを検討したりするなど、対応に追われている。別のメーカー担当者からは、「関税交渉の進展も見えないし、大変な状況になるのではないかと不安だ。リーマンショックの再来ではないかと当時の記憶がよみがえる」と今後の経営を不安視する。

赤沢大臣は先月末も7回目の関税協議で訪米したが、アメリカ側の担当閣僚ではラトニック商務長官と会えただけで、交渉担当の中心となっているベッセント財務長官とは協議ができなかった。政府関係者の一人は、「ベッセント長官は状況が動くときには動く。先月末の状況では、トランプ大統領を説得できないと思って動かなかったのではないか」とみている。日本側の交渉実務を担当する省庁担当者らは7回目の協議が終わったあともアメリカに滞在して次の閣僚級協議に備えているが、次の協議で合意への道筋は見えてくるのだろうか。



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