【ワシントン=黒瀬悦成】米国での黒人差別解消に向けた公民権運動の指導者の一人として知られる民主党の長老下院議員、ジョン・ルイス氏が17日死去した。80歳。昨年末に末期の膵臓(すいぞう)がんと診断されたと公表していた。
1940年、南部アラバマ州生まれ。公民権運動では、学生非暴力調整委員会(SNCC)の創設に関与し、63~66年に委員長を務めた。公民権運動指導者のキング牧師が主導した63年のワシントン大行進にも参加し、「米国よ、目覚めよ」などと演説した。
その後、86年に南部ジョージア州選出の下院議員として初当選し、連続17期務めた。
最晩年はトランプ大統領批判の急先鋒(せんぽう)としても知られ、2017年1月のトランプ氏の就任式を欠席した。
トランプ大統領は18日、ルイス氏の議員としての長年の貢献に敬意を表し、ホワイトハウスや政府施設などで半旗を掲げるよう指示した。ツイッターには「公民権運動の英雄の死去を知って悲しんでいる」と書き込んだ。
ペロシ下院議長はウェブサイトやツイッターで「ルイス氏の善良な人柄、信念と勇気はこの国を変えた」と述べ、故人をしのんだ。
オバマ前大統領も声明で「ルイス氏は、自由と正義といった大義に全身全霊で取り組んだだけでなく、同氏が示した模範に応えて生きていこうとする何世代もの人々を奮い立たせた」と称賛した。