クロちゃん「水曜日のダウンタウン」亡き父親ドッキリに号泣、視聴者と家族の反応は?

2023年に最愛の父を肺がんで亡くしたお笑いトリオ・安田大サーカスのクロちゃんが、7月30日放送の人気バラエティ番組『水曜日のダウンタウン』(TBS系)のドッキリ企画に出演し、亡き父との“再会”を果たす一幕が大きな反響を呼んでいます。深い悲しみと後悔を露わにして号泣するクロちゃんの姿は多くの視聴者の涙を誘った一方で、その企画内容の倫理性を巡っては「不謹慎だ」との批判も噴出。番組の演出に対する賛否両論が巻き起こる中、当事者であるクロちゃん本人、そしてその家族が番組に示した意外な反応に注目が集まっています。

クロちゃんが「水曜日のダウンタウン」の企画で亡き父・香さんと再会し涙する様子。クロちゃんが「水曜日のダウンタウン」の企画で亡き父・香さんと再会し涙する様子。

企画概要:「死の淵」を検証する試み

今回の『水曜日のダウンタウン』で検証された説は「寝て起きたら川のほとりにいてその向こう岸に亡くなった父親がいたら死の淵にいるかと思う説」というものでした。この企画のため、番組サイドは約半年間もの期間をかけて準備を進め、声や風貌を故人に似せるなど、最新の技術を駆使してクロちゃんの父親・香さんを忠実に再現。香さんは生前、クロちゃんの活動を常に温かく見守り、出演番組は欠かさずチェックする“いちばんのファン”であったことが、クロちゃん自身がメディアで明かしていました。父の死はクロちゃんにとって計り知れない喪失であり、その大きな存在を番組が再現するという異例の試みでした。

クロちゃんの生々しい感情と「親孝行」の真意

ドッキリは、麻布十番での合コンを楽しんだクロちゃんが熟睡した状態で川岸に運ばれることから始まります。目を覚ましたクロちゃんは、向こう岸に立つ“父親役”からの「明人(クロちゃんの本名)、こっちじゃ」という呼びかけに激しく動揺。「なんで、なんで……!」と驚きながらも、すぐに堰を切ったように号泣しました。混乱しながらも溢れ出る感情を抑えきれない様子で、「俺、親孝行できてない。『お父さん、旅行連れていく』って言ってたのに、連れてってなくてごめんなさい」「お金いっぱい貯めたから。なんぼでもお父さんに親孝行できるから」と、未だ果たせぬ親孝行への後悔と、改めての誓いを涙ながらに叫び続け、「戻ってきて!」と父親の存在を強く求めたのです。この日、合コン中に「1億2000万円持ってる」と自慢していたクロちゃんの貯金が、実は亡き父への親孝行のために貯められていたことが明かされ、多くの視聴者の心を打ちました。

視聴者からの賛否両論:感動か、それとも不謹慎か

クロちゃんの心からの叫びと涙に、「初めてクロちゃんで感動した気がする」「見ててむせび泣いたわ」と、心を揺さぶられ涙する視聴者が続出しました。しかし、一方で、亡くなった肉親を再現するドッキリという企画内容に対しては、「不謹慎すぎる」「人の死をネタにするのは流石に引く」「人としてどうなの?」「初めてクロちゃんが可哀想と思った」「最低。人の心の柔らかい部分に土足で入るなよ」といった、番組の倫理観を問う否定的な意見もSNS上に多数投稿され、大きな議論を巻き起こしました。過去にもクロちゃんとかつて交際していたアイドルのリチとの関係を赤裸々に企画にするなど、たびたび物議を醸してきた『水曜日のダウンタウン』ですが、今回の放送も例に漏れず、視聴者の間で意見が二分される結果となりました。

クロちゃんと過去に交際していたアイドルのリチ。番組では二人の関係も企画された。クロちゃんと過去に交際していたアイドルのリチ。番組では二人の関係も企画された。

当事者クロちゃん、そして家族の「感謝」

番組放送後、当事者であるクロちゃんは自身のX(旧Twitter)を更新し、今回の企画について自身の正直な気持ちを綴りました。「お父さんに合わせてくれた気がして、なんだか嬉しかったな。言いたい事、酔っ払ってて覚えてなかったけど言ってた気がした」「父親と面と向かって喋れなかった事の後悔はずっとあったので今回、正直感謝してます」と投稿し、このドッキリが彼にとって救いとなったことを示唆しました。さらに、クロちゃんの母親からも「涙が出てしかたないです。お父さんを思い出してディレクターに感謝します」というLINEが届いたことも明かされました。

終わりに

今回の『水曜日のダウンタウン』のドッキリ企画は、視聴者の間で賛否が大きく分かれました。しかし、当事者であるクロちゃん自身、そしてその家族が番組の意図を理解し、故人との対面を「感謝」と捉えているという事実は、この企画の持つ別の側面を浮き彫りにします。テレビ番組の倫理と表現の自由、そしてそれが生み出す感動や波紋の境界線について、改めて深く考えさせられる出来事となりました。


参考文献