自民党竹下派(平成研究会)の若手議員が「ポストコロナ」の社会像をテーマに勉強会を重ね、注目されている。新型コロナウイルスの感染収束後の社会を先取りする議論もさることながら、首相経験者やベテラン議員らが相次いで講師を務め、派閥の奮起を促しているためだ。秋に予定する政策提言の発表が主眼だが、次期総裁選に向けた下準備との臆測も呼んでいる。
「自分のグループから(総裁候補を)出せばおのずとまとまる。戦う気概を持たなければ先に進めない」
かつて同派に所属した日本維新の会の鈴木宗男参院議員は14日の勉強会でこう述べ、次期総裁選では派内から候補を立てるよう訴えた。
同派は前身の「経世会」時代を含めると、竹下登、橋本龍太郎、小渕恵三の3氏を首相に出した名門派閥だ。ただ、小渕氏のあとは首相の座から遠ざかり、かつての最大勢力も現在は党内第2派閥に甘んじる。
同派の強みだった「鉄の結束」も、揺らぎ始めている。平成30年の前回総裁選では衆院の大半が安倍晋三首相を支持したのに対し、参院は石破茂元幹事長を支援し、対応が割れた。
鈴木氏が自派閥からの候補者擁立を説いたのもこうした経緯が念頭にあり、「派閥から候補を立てることで求心力が生まれる」と強調した。東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相は今月8日の勉強会で、人間関係の大切さを説いた。
派内では茂木敏充外相、加藤勝信厚生労働相、小渕優子元経済産業相の名前が総裁候補として挙がる。最も有力視されているのが茂木氏だが、前回総裁選で衆院側を率いた中心人物でもあり、参院側との溝は今も残っているとされる。
若手勉強会は衆参双方の議員でつくり、両院の同派幹部とも綿密に連携を取りながら進めている。若手議員の一人は「結束を取り戻すための環境整備になればいい」と話す。(大橋拓史)