NTTコミュニケーションズの丸岡亨社長は20日までに産経新聞のインタビューに応じ、令和6年度までに教育や企業のIT化などの新領域の売上高を1000億円に拡大させる方針を示した。コロナ禍で需要が高まる在宅学習や在宅勤務向けのサービスに注力し、ビッグデータの活用などにつなげる狙いがある。音声通話市場が縮小する中、NTTグループは新しい収益源の確保が急務となっている。
NTTコムは小中学校向けに在宅学習を支援したり、学習記録を管理したりできる教育サービス「まなびポケット」を提供している。丸岡氏は「教育市場にはスピード感が求められている。どういうパートナーとサービスを展開するかが重要になる」と資本業務提携を積極的に進める考えを示した。生徒の体調や人間関係をビッグデータとして分析すれば、学習以外に教育現場で求められる生活指導にも活用できるという。
政府は5年度までに小中学生に1人1台の端末と高速通信ネットワークを整備する「ギガスクール構想」を掲げている。丸岡氏は「生徒が学校に来られないという状況になって、教育のデジタル化の要望が相当増えた。サービスを充実させて教育プラットフォームを拡大させていく」と述べた。
コロナ禍による在宅学習や在宅勤務などの増加で、昼間のデータ通信量は5割増となっているという。働き方改革などを追い風に需要が急拡大する分野に注力することで、縮小する音声通話市場の売り上げ減を補いたい考えだ。
インターネットの高速通信を全国一律の提供を義務付ける「ユニバーサルサービス」化について、丸岡氏は「税金を使ってやるよりも、競争原理を生かしながら、無線と有線を組み合わせて進めるのが経済合理的でもある」と述べた。