新型コロナウイルスに関連した企業倒産件数(負債1千万円以上)が累計で350件に達した。7月に入って増加ペースは落ち着いてきたが、なお高水準を維持している。緊急事態宣言の解除後に感染者数は再び増加し、期待された景気回復の勢いは乏しい。政府の資金繰り支援で目先の破綻は免れても、景気低迷が長期化することで来年以降に“息切れ倒産”する企業が相次ぐ懸念も指摘される。
東京商工リサーチがまとめた今月22日時点の集計では、和歌山、鳥取、高知を除く44都道府県で関連倒産が発生し、東京が89件と突出している。業種別では飲食業が53件で最多。次いでアパレル関連(43件)、宿泊業(40件)となり、国内の移動自粛の影響を強く受けた業種の倒産が際立つ。
7月の倒産件数は22日までに56件。4月(84件)、5月(83件)、6月(103件)に比べ増加のスピードはやや落ち着いたが、「7月に感染者数がぶり返して消費者の自粛意識が高まっており、経済活動の停滞で倒産件数が再び急増する可能性もある」(大手銀行幹部)とも指摘される。
レナウンを始めとしたアパレル関連の倒産も歯止めがかからない。「消費税増税や暖冬による冬物衣料の販売不振など構造不況にコロナが追い打ちをかけている」(東京商工リサーチ)との見方が強い。20日にはギャル系ファッションブランド「CECIL McBEE(セシルマクビー)」が店舗事業の撤退を発表するなど、有力ブランドですら抜本改革を迫られる。
一方、実質無利子無担保の融資制度など政府の資金繰り支援策で延命した企業も、売り上げの見通しが立たなければ倒産や廃業を選ぶしかない。大手銀幹部は「来年以降は幅広い業種で倒産が加速する可能性がある」と警戒を強める。