ALS(筋萎縮性側索硬化症)の女性患者に薬物を投与し殺害したとして、2人の医師が嘱託殺人容疑で京都府警に逮捕された事件を受け、患者や家族らでつくる日本ALS協会と日本尊厳死協会(いずれも東京都)がそれぞれホームページにコメントを発表した。
日本ALS協会は、「ALS患者が死にたいと関係者に吐露し依頼することは珍しいことではなく、患者の思いや行為を非難することはできない」とし、女性に哀悼の意を示した。一方、医師2人の行為について「医療倫理に背く行為であり、二度とあってはならない」と批判した。
安楽死については協会としては認めない立場を示しながら、「これまでALSで生じた悲しい出来事は患者が社会的に孤立した状況で起きている」と指摘。「医療者や福祉関係、支援者が当事者に寄り添い支援していくことが必要だ」と訴えた。
日本尊厳死協会も2医師を批判したうえで、「死にたいという言葉の裏には、家族への負担を強いることや自分の生きる意味や価値を見失う苦痛や苦悩がある」と説明。「不十分なサポート体制が、多くの不幸な尊属殺人や嘱託殺人を招いている」とコメントした。
さらに、「安楽死の議論を望む声もあるが、社会の意識改革と制度改革を待たずに、安易に安楽死を容認すべきではない」と強調した。