山形県を流れる最上川で29日朝にかけ相次いだ豪雨による氾濫で、氾濫した4カ所のうち3カ所が集中した同県大石田町では、避難した住民らが「こんな雨は初めて」などと語った。町内では約2300世帯が断水している。
川の水位が上昇したため、町は警戒レベル5の「避難指示」を発令。町の人口の半分にあたる1028世帯・3027人が対象となり、住民らは体育館などへ身を寄せた。
最上川に面した豊田地区では、消防団員らが低地の住宅の住人らに「危険水位に達した。避難しよう」と呼びかけた。いまのところ、けが人などは出ていない。近くに住む佐々木恵一さん(43)は「経験上、こんなに雨が降ったことはなかったと思う。昨夜8時半には、もうやばいと思った。驚いた」と話した。
地区には、隣接する尾花沢市と共同の上水道浄化施設があるが、氾濫により水没。担当職員らがボートで施設へ向かったが、浄水機能ができなくなり、町内では29日午前9時から約2300世帯が断水した。復旧のめどは立っていない。
豊田地区の橋周辺では、最上川の水深は20メートル以上。渦を巻いた濁流が音を立てながら流れていた。