【長州正論懇話会】百地章氏講演詳報「憲法改正議論加速を」

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第31回長州「正論」講演会で講演する国士舘大学の百地章特任教授=28日午後、山口県下関市(中村雅和撮影)

第31回長州「正論」講演会で講演する国士舘大学の百地章特任教授=28日午後、山口県下関市(中村雅和撮影)

 山口県下関市の市生涯学習プラザで28日に開かれた長州「正論」懇話会の第31回講演会で、国士舘大学の百地章特任教授は、憲法改正について「緊急事態条項が存在せず、自然災害などへの対処に限界がある。危機に対処する根拠規定を憲法に書き込むことが重要だ」と語った。同時に、国会の憲法審査会での議論を加速させ、速やかに改憲案を発議、国民投票を実施すべきだと訴えた。講演の主な内容は次の通り。

 現行憲法の最大の欠陥は、国家的な緊急事態に対処する規定がないことだ。

 現在、人類は新型コロナウイルス蔓延(まんえん)というかつてない困難に遭遇している。

 罰則付きの外出禁止や、経済活動を制限するロックダウンなど、感染拡大を防ぎ、より多くの国民の命を守るための措置を多くの国が採った。

 日本でも、改正新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく、緊急事態宣言が発令された。しかし、外出自粛も休業も、罰則がない要請にとどまる。それでも大多数の国民が応じた。

 日本の新型コロナによる人口100万人あたりの死者数は、8人程度だ。これは700人弱のイギリスや、約400人の米国などと比べて極めて少ない。高い公衆衛生意識やクラスター(感染者集団)対策などが奏功したようだが、要請だけでこの程度に抑えられたのは奇跡に近い。

 しかし、要請だけでは限界がある。現に、開催を強行したイベントや、営業を続けた店舗などがある。今後、新型コロナ以上に悪性の感染症が発生した際など、どうしても、というときには、厳しい罰則を設けるべきだ。そして、憲法にそれを裏付ける規定は必要だ。

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 緊急事態は新型コロナだけではなく、自然災害でも起こり得る。

 災害対策基本法(災対法)では、「災害緊急事態」を布告(非常事態宣言)したり、国会が閉会中などの条件はあるが、物資の流通制限や価格統制、債権の支払い猶予などについて、政令を制定できたりする規定はある。

 しかし、平成23年3月に発生した東日本大震災では宣言はされなかった。また、仮に宣言されていても、政令がすんなりと出せるかは疑わしい。枝野幸男官房長官=当時=は、「(憲法で保障された)財産権との問題を解決するために、特別立法が必要」という趣旨の発言していた。また、国会で答弁した政府の役人も「憲法上の問題から、災対法に規定があっても、私権の制限は簡単にはできない」と述べていた。

 ここに、なぜ憲法に緊急事態条項が必要かという答えがある。法律だけでは意味がないという一端が見えた。法律の根拠を憲法に設ける必要がある。

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 改憲のテーマは他にもある。例えば前文だ。敗戦国としての詫び証文のような、安全と生存まで他国に委ねるとんでもない内容だ。一方、大日本帝国憲法では、発布勅語で、皇室と国民が一体となって、国を建設し、発展させてきたという、君民一体の国柄を明記した。現行憲法の前文にも、このような国の形、国体を表現すべきだ。あわせて、国家と国民の安泰を祈る宮中祭祀も、公的行為に書き込むべきだ。

 9条の問題もある。安倍晋三首相が提唱した自衛隊の根拠規定を追加する加憲論は、自衛隊違憲論の解消や法的安定性の向上に加え、自衛隊の正統性を高めるという意味がある。平和も安全も外国まかせという精神構造から脱却し、国民が国や防衛のことを考え始めたという決意表明となり、対外的な抑止力にもつながるだろう。

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 しかし、改憲議論は遅々として進まない。平成28年の参院選で、戦後初めて、衆参両院で「改憲勢力」が、発議に必要な3分の2を超えた。しかし、国会での改憲議論は停滞し続けた。昨夏の参院選でも、憲法を議論する政党を選ぶのか否かということが大きな争点にされた。それでも、昨秋の臨時国会で、憲法審査会は衆院での自由討議3回だけ。今年の通常国会でも低調で、参院では1度も開かれなかった。国民投票法改正案も暗礁に乗り上げたままだ。これはどう考えても異常だ。

 憲法改正の是非を決めるのは国民だ。提案もしないことは、主権者である国民が最終的に決定する権利を奪うことに等しい。議会制民主主義の否定だ。絶対に許されない。

 速やかに憲法審査会を開き、1日も早く改憲論議を進めてほしい。

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