【長野放送・アナウンサーコラム】「ラーメンに込められた思い」　小宮山瑞季

　この度の令和２年７月豪雨により亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、被災者の皆さま方には心からお見舞い申し上げます。

　さて、先月取材で訪れた千曲市のラーメン店の話です。店主から「今年完成したとっておきのラーメンがあるんだよ」と言われ、食べに行きました。食材が１０種類ものったボリュームのあるラーメンは、にんにくみそが香るあっさりな一杯です。

　実を言うとこれは、今年４月に閉店した店のメニューを再現したものです。閉店した店も千曲市にあり、店主はよく食べに行っていたそうです。「あの味がなくなってしまうのは寂しい」と再現を決意し、この夏、ついに完成させました。一番このラーメンを食べたいのは、店主自身なのだと語ってくれました。

　このお店は、地元で６０年以上にわたり地域を愛し続け、お客さんからは愛され続けていました。ラーメンを通してみえた人とのつながり。引き続き、こうした温かいエピソードを一つ一つ大切に拾い上げる丁寧な取材をしていくと強く心に決めました。