麻生副総裁、「高市内閣を育てる」発言が波紋—専門家と世論の反応

自民党の麻生太郎副総裁が11月19日、東京都内での講演で高市早苗内閣について言及した際、「連立政権を取り巻く環境は楽観できない」「こういった内閣を生んだ以上は育てねばいかんという決意を新たにしている」と発言し、政界内外に大きな波紋を広げています。この発言は、高市首相誕生における麻生氏の役割と、彼女の直面する課題を改めて浮き彫りにしています。

麻生太郎副総裁が講演で発言する様子麻生太郎副総裁が講演で発言する様子

高市首相誕生の「影の立役者」としての麻生氏

麻生副総裁は、高市早苗首相の誕生における「影の立役者」として広く知られています。ある全国紙記者は、10月に行われた自民党総裁選の背景を指摘します。当初は小泉進次郎氏が優勢と見られていましたが、麻生氏の動きが状況を逆転させ、高市氏の勝利に繋がったとされます。さらに、公明党が連立を離脱した後も、麻生氏は無所属議員などに対し、首班指名選挙で高市氏に投票するよう多数派工作を進めました。最終的に日本維新の会が閣外協力という形で自民党との連立政権に参加を決め、高市首相の誕生に至った経緯があります。麻生氏としては、自身が「生みの親」である以上、高市内閣を支え続けるという責任感を表明した形です。

「育てる」発言への世論と専門家の見方

しかし、麻生氏の「育てる」という発言に対して、インターネット上では違和感を表明する声が少なくありません。「85歳の麻生太郎が64歳の高市早苗を育てるって何ごっこなの?」「この人、いつまでフィクサー気取りなのかな」「せめて育ててから首相にしなさいよ、未熟な人間が育つまで耐える余裕なんてない今の日本にはないんだから」といった批判的な意見が寄せられています。

政治ジャーナリストは、こうした世論の背景について次のように分析します。「麻生さんが高市内閣の“生みの親”であるのは事実ですが、麻生さんが85歳、高市さんが64歳という年齢差を考えると、『育てる』という表現が妥当であるかには疑問が残ります」 。また、ジャーナリストは「そもそも育てる前に首相にしてしまったのは問題なのでは、といった見方もできますね」と述べ、首相としての資質を育成する時期を逸しているとの見解を示しています 。

高市首相の抱える「台湾有事」問題

麻生氏の発言が波紋を呼ぶ一方で、高市首相自身も就任早々に大きな課題に直面しています。11月7日の衆議院予算委員会では、台湾有事を巡る高市氏の発言が国際問題に発展しつつあります。高市氏は、中国が台湾に対し戦艦を用いた海上封鎖などを行った場合、それは日本にとって「存立危機事態」になり得ると発言しました。「存立危機事態」とは、集団的自衛権を根拠に自衛隊が武力を行使できる状況を指すものです。

この発言に対し、中国側は激しく反発。日本への渡航自粛を呼びかけつつ、高市氏に発言の撤回を求めましたが、日本側がこれを拒否したため、日中関係の中長期的な冷え込みが懸念される事態となっています 。高市氏が就任早々、このような大きな火種を抱えてしまった現状は、麻生氏が「育てる」のを待つような余裕は内閣にないかもしれないことを示唆しています。

結論

麻生太郎副総裁の「高市内閣を育てる」という発言は、高市首相の誕生背景と現在の政権が直面する課題に対し、多角的な議論を巻き起こしています。麻生氏の政治的影響力は大きいものの、国民からは年齢差を考慮した上での表現の適切さや、首相としての成熟度に対する疑問が呈されています。さらに、高市首相自身が台湾有事に関する発言で外交問題を抱える中、政権は「育てられる」時間を待つことなく、喫緊の課題への対応が求められています。

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