人口減少時代の新たな農村政策を考える農林水産省の有識者検討会の第3回会合が30日、省内で開かれ、耕作放棄地や空き家の増加など、農山村をめぐる課題の解決に寄り添う外部人材「地域づくり人材」を育てるに当たり、人材を国が「認定」するとの提案をめぐって議論が交わされた。
同省側は、地域づくり人材を育てる国の仕組みの方向性として、市町村職員をはじめ官民の研修・認定制度を提案した。
委員のうち、地域活性化センターの前神有里氏は「『認定』に違和感を覚える」と問題提起。「行政に認定される人は、行政の用意した箱の中でしか活躍しておらず、地域の人から『なぜあの人が認定されたんだろね』と、不協和音を生むような事例を多く見てきた」と経験を話した。
一般社団法人INSPIREの谷中修吾氏は「対象の主軸を市町村職員とするなら認定制度もあり得るが、もっと地域に近い民間の人材まで対象とするなら、認定制度に違和感が出てくる」と指摘した。
議論に先立ち、人材育成の先行例として、全国町村会による「地域未来農政塾」の塾長で福島大学の生源寺真一教授が招かれ、取り組みを紹介。生源寺氏は「中山間地域には、農業が存在することで地域が維持される面と、地域社会が維持されていることで農業が継続している面がある」と述べ、検討会での新たな農村政策に期待感を示した。
■「マルチワーク」実践者にアンケート
農水省は、検討会のもう一つの課題である、農村で多様なライフスタイルを実現するための支援策を探るインターネット調査を始めた。「農業と様々な仕事を組み合わせた暮らしに関するアンケート」で、対象は、農業を含む複数の仕事をしている個人。
こうした働き方は「マルチワーク」と呼ばれ、6月に始まった総務省の「特定地域づくり事業協同組合(地域づくり組合)」制度でも、都市からの移住者の働き方として想定されている。
アンケートは8月24日まで。アドレスは https://marketing.post-survey.com/2007nouson/