【台北=矢板明夫】台湾の李登輝元総統が30日夜に死去したことについて、31日付の台湾各紙は「かけがえのない政治リーダーが逝った」「民主先生(ミスター・デモクラシー)との永遠の別れだ」といった見出しで大きく伝えた。大手紙、アップルデイリーは李氏の人生を振り返る10ページ以上の特集を組み、台湾の民主化に果たした李氏の貢献をたたえた。
台湾メディアによると、李氏は2月8日に自宅で牛乳を誤嚥(ごえん)して病院に運ばれ、その約10日後から昏睡(こんすい)状態となった。死去までの約5カ月間、意識は戻らなかった。高血圧、糖尿病など複数の持病が悪化し、医療チームは懸命に治療を続けたものの、今月29日に容体が急変した。30日午後7時24分、牧師と家族に見守られながら、眠るように息を引き取ったという。
台湾の総統府は31日にも、李氏の葬儀について話し合う会合を招集し、葬儀委員会を立ち上げる予定だ。家族の意向を尊重して葬儀はキリスト教式、国葬の形で実施するという。具体的な日時や外国の要人を招待するかどうかについてはこれから検討するとしている。
墓地の候補地としては、李氏が三軍の統帥(最高司令官)を長年兼ねたことから、新北市にある「五指山軍人公墓」の案が浮上している。また、総統府に近い台北賓館に、一般市民が哀悼の意をささげる献花台を設ける予定だという。