菅首相インタビュー詳報 学術会議見直しは「行革担当相として当然」


菅首相インタビュー詳報 学術会議見直しは「行革担当相として当然」

 菅義偉首相は10月9日、内閣記者会のインタビューに答えた。詳報は以下の通り。

 --日本学術会議のあり方について行政改革対象として見直すのか。

【イラストでみる】日本学術会議の構図

 「平成13年の省庁再編の際にあった相当の議論の中で長期的、総合的、国際的観点からの提言が求められており、俯瞰的な視点を持って、社会的課題に向き合うことができる制度、できる人材が望ましい。今回、日本学術会議の役割に関心が集まっている。これを機会に日本学術会議のあり方が良い方向に進むようなら歓迎したい」

 --28年から推薦決定前に官邸側が任命に難色を示す事例が複数確認されている。政府としては、いつ何をきっかけに、形式的任命をしなくなったのか。

 「内閣府で同会議の会長があり方などについてやりとりは当然行っている。総合科学技術会議の意見具申によれば、日本学術会議は科学者の知見を集約して長期的、総合的、国際的観点から行政や社会へ提言を行うこと、総合的、俯瞰的な観点から活動するとことが求められている。さらに平成27年の有識者会議において、会員は自らの専門的分野の枠にとらわれない俯瞰的視点を持って社会的課題に向き合うことができる人材が望ましいとされる。こうしたことを踏まえ、任命を行う際には総合的、俯瞰的な活動、すなわち広い視野に立ってバランスの取れる活動を行い、国の予算を投じる機関として国民に理解される存在であるべきということを念頭に内閣府などで議論していることは事実だ」

 --安倍晋三前首相から引継ぎはあったのか。

 「ない」

 --ご自身で今回決断をされたということ。

 「そうした一連の流れの中で判断をしたということです」

 --首相自身が梶田隆章会長に直接説明される考えはあるか。

 「梶田会長とは日頃から事務局との間でコミュニケーションをとっているが、会長がお会いになりたいということであれば、お会いさせていただく用意は持っている」

 --総合的、俯瞰的な活動ということがなかなか国民にはわかりづらい

 「総合的、俯瞰的な活動、すなわち広い視野に立って、バランスのとれた活動を行い、国の予算を投じる機関として国民に理解される存在であるべきこと、こうしたことを念頭に置きながら判断を行う必要がある」

 --学者個人の思想信条が影響することはあるのか。

 「それはない」

 --法改正を考える可能性もあるのか

 「日本学術会議は政府の機関であり、年間約10億円の予算を使って行動していることや、任命される会員の方は公務員の立場になる。国民から理解される活動をする必要がある」

 --過去の国会答弁では推薦をそのまま形式的な発令行為を行うと解釈しているとあるが、解釈は変更していないということで間違いないのか。

 「加藤勝信官房長官の記者会見でも説明している。憲法15条に明らかにされている通り、公務員の選定は国民固有の権利であり、任命権者たる内閣総理大臣として責任をしっかり果たしていく。こういう一貫した考え方に立った上で、法律に基づいて任命を行っている。解釈変更を行っているものではない」

 --その総合的、俯瞰的の中に軍事研究は入る可能性はあるのか。

 「幅広い視野に立ってバランスのとれたということに対して、しっかり対応していくことが大事だ」

 --主体的にあり方の見直しに対して検討を指示する考えはあるのか。

 「私からというよりも自民党の政調会長のもとであり方について、いろんな議論をしている。しっかり見ながら与党と連携していく形になる」

 --今の段階で総理から指示を出す考えは

 「私から指示することは考えていない」

 --27年に有識者会議がまとめた報告書で日本学術会議を変える理由は見いだしにくいとしている。河野太郎行政改革担当相が会議の見直しに言及されたが、方針が変わったのか。

 「210人の学術会議の中で事務局員が確か52人ほどいる。国費が投入されているので、そうしたことも含め、河野氏が一つの国の機関だから全体を行革といった視点で(見直しを)行うということは担当相としてある意味で当然のことだ」

 --安倍前首相から引き継ぎがなかったということだが、最初に案を見たのはいつ誰からの報告か。

 「私が最終的に決裁を行ったのは9月28日。会員候補のリストを見たのは、その直前だったと記憶している。その時点では最終的に会員になった方がそのままリストになっていた」

 --見た段階ではもう99人だった

 「任命するリストなので。(推薦段階でのリストは)見ていない」

 --11月1日に住民投票が行われる大阪都構想についての見解を聞かせてほしい。また、大阪の副首都化や道州制への考えは

 「大阪府は昨年まで全国でインバウンドが伸びる中で、宿泊者数全国第2位となるなど元気になってきている。また行政においても大阪市の職員数は実質的に1万5千人削減を実現している。こうした市の工夫や頑張りが地域を元気にしていく。こうしたことを期待をしたい。大阪都構想は二重行政の解消などを目的とするものと認識しているが地域の判断に委ねられるもので、地域の関係者の間で真摯な議論が行われることを期待したい」



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