間近に迫る参院選において、京都選挙区で新たな動きが見られます。元関西テレビアナウンサーの新実彰平氏(36歳)が、日本維新の会からの出馬を予定し、注目を集めています。新実氏は若くして報道番組で活躍し、「在阪局初の平成生まれメインキャスター」として知られました。京都大学卒業後、2012年に関西テレビ放送に入社し、2017年に始まった「報道ランナー」ではメインキャスターを務めました。しかし、2024年10月1日付で同社を退社し、同月中に参院選への出馬を表明。華やかな人気アナウンサーの地位を離れ、政治家を目指す決断は世間を驚かせました。新人候補予定者として、政治家として実現したいことや、日本維新の会を取り巻く現状への思いについて、新実氏に話を聞きました。
2024年10月、参院選出馬表明記者会見を行う新実彰平氏。維新からの立候補予定者として自身の政策などを語る様子。
目指す政策:社会保障改革と同性婚の法制化
政治家として特に実現したいこととして、新実氏は二つの柱を挙げました。一つは社会保障制度改革です。これについては、「現実から逃げず、先送りせずに解決策を考えていく」と強い決意を示しています。もう一つが文化のアップデート、特に同性婚の法制化に熱心に取り組みたい考えです。
一昨年成立したLGBT理解増進法を巡る議論の中で、自民党などからは「同性婚の法制化には世論の理解が追いついていない。世論が追いついたときに社会制度を変えるべきだ」という主張が出ました。しかし、新実氏はこれとは逆の考えを持っています。「法制化しなければならない立法事実が明らかに存在する」とし、同性同士でパートナーになれないことで深刻な悩みを抱える人が世代を問わず存在することを指摘しました。法制化が実現すれば、同性同士の愛情を社会が認めたことになり、それが理解増進につながるはずだと主張します。「これについては急進的と捉えられても構いません。ある意味急進的なアプローチが必要だと考えている」と述べ、理解増進はメディアでも可能だが、「危機的な立法事実があるなかで仕組み自体を変え、それが結果的に理解増進を促すというアプローチは、立法府にしか取れないものだ」と、立法府の役割を強調しました。
関西テレビアナウンサーとして「報道ランナー」メインキャスターを務めた新実彰平氏。政治家転身前のメディアでの活躍を示す一枚。
維新の現状と再生への決意
自身が公認を受けた日本維新の会については、ここ数年、所属議員のさまざまな不祥事が報じられ、また地方議員の離党が相次ぐなど、党勢が落ち込んでいるとの指摘があります。この状況について新実氏は率直な見解を示しました。「さまざまな不祥事と言われる事態が起きていることは事実ですし、その数が多いという指摘も間違ってはいないと思います。」と述べ、維新の一員として「申し訳ない」と謝罪の意を示しました。
その上で、新実氏は維新の政策と政治姿勢に可能性を感じているとし、「この政党がもう一度よみがえることこそ国益にかなうと心底思っている」と、維新への期待を語りました。いち立候補予定者に過ぎない立場ではあるものの、「もう一度ゼロから維新をよくしていくという意気込みでやっています」と、党の再生に向けて自身も貢献していく決意を表明しました。
新実氏は、アナウンサー時代に培った社会を見る視点と、新人候補としての熱意を胸に、参院選京都選挙区での挑戦に臨みます。社会保障や文化のアップデートといった具体的な政策課題に対し、真正面から向き合う姿勢を示しつつ、所属政党が直面する逆風についても自身の言葉で語りました。