第11管区海上保安本部(那覇)は13日夜、沖縄県・尖閣諸島周辺の領海に侵入した中国公船2隻の連続侵入時間が57時間39分となり、2012年の尖閣国有化以降、最長になったことを確認した。今年9月の菅義偉政権発足後、同海域での領海侵入は初めて。中国公船は付近で操業中の日本漁船に接近しようとする動きも繰り返し、海域での中国の主権主張につながりかねないとして、日本政府は中国に対し厳重に抗議した。
海保によると、中国公船2隻は11日午前10時47分ごろから13日午後8時26分ごろまで領海に侵入した。13日午前2時過ぎ、7月に記録した連続侵入の39時間23分を超えた。侵入時間が過去最長を更新するのは今年に入り、3回目で、中国は同海域での行動をエスカレートさせている。
今回、公船2隻は侵入時に日本漁船に接近し、その後も同様の動きを繰り返したため、海保は巡視船を漁船の周囲に配置して安全を確保する一方、領海からの退去を要求。外務省の滝崎成樹アジア大洋州局長も11~13日、中国の楊宇駐日次席公使に、「日本固有の領土である尖閣への侵入は受け入れられない」と抗議し、日本漁船への接近中止を求めた。
中国外務省の趙立堅(ちょうりつけん)副報道局長は13日の定例記者会見で「釣魚島(尖閣諸島の中国名)は中国固有の領土であり、その海域で巡航し、法執行するのは中国側の固有の権利だ。日本側はそのことを尊重すべきだ」と述べ、自国の行動を正当化した。【田所柳子】