警察に通報した不審者情報が特殊詐欺事件の容疑者逮捕につながったとして、宇佐署は7日、中津太陽交通高田営業所のタクシー運転手松本吉昭さん(54)=宇佐市南宇佐=に感謝状を贈った。小林一成署長は「通報がなければ被害を防げなかった」とお礼を述べた。
【関連】「私が助ける運命だったのか…」68歳大工、4度目の人命救助
松本さんは9月29日午前、配車指示に従い、宇佐市の国道沿いで男性客を乗せた。ただ普段はあまり観光客やビジネス客を乗せない場所だった。約5キロ走り、降ろした後も行き先と違う方へ歩いていくのを見て違和感を抱き、署に通報。駆けつけた署員が特殊詐欺事件の容疑者と見抜き、逮捕した。
この日は朝から特殊詐欺のアポ電と見られる不審電話が同市内で相次いでおり、署は各事業所に情報を提供。乗車中にたまたま、注意を呼び掛ける業務無線が流れ、松本さんはピンときたという。
配車依頼が非通知だったことを配車係に確認して通報するなど、タクシー運転歴14年のベテランらしい落ち着いた行動に終始した松本さんは「被害が防げたのが何より。感謝状は会社を代表していただいたもの」と謙遜。上司の屋根内秀己・本社営業所長は「ベテランで真面目な松本さんの人柄が出た成果では」と喜んでいた。 (後藤潔貴)