国の森林整備事業を巡り、間伐された木材の販売で昨年度までの2年間に少なくとも計約1億1100万円の赤字が出ていたことが、会計検査院の調べでわかった。検査院は19日、費用対効果の確認が不十分だったとして、林野庁に改善を求めた。
林野庁は、全国に約110か所ある森林管理署・支署に対し、間伐材を販売するよう推奨。木が小さいなど低品質なものは伐採した場所に残せるとしている。
関東と中部、四国、九州の27森林管理署・支署が2018~19年度に実施した大規模な間伐を検査院が抽出調査したところ、間伐材が販売された441か所の約2割にあたる76か所で販売経費が売り上げを上回った。低品質で安価な木材を売ったり、市場までの輸送距離が長かったりしたのが原因という。赤字額は計約1億1100万円だった。
赤字が約3000万円にのぼった福島県棚倉町の森林管理署は「林道から離れた森林を伐採することもあり、人手がかかる。林野庁から収入を上げてほしいと言われていない」とする。
林野庁は「経済性を考慮して事業を進める」としている。