中国の「打倒韓国半導体」さらに遠ざかるか…SKハイニックスのインテル買収うらやむ中国


「SKハイニックスの事業拡張は中国にも良いシグナル」。

20日のSKハイニックスがインテルのNAND型フラッシュ事業部門を買収するというニュースに対する中国メディアの最初の反応だ。中国網易ドットコムはこの日「SKハイニックスの全売り上げで中国の割合が毎年上昇している。今回の買収はSKハイニックスの中国市場依存度をさらに拡大するだろう」と分析した。

米国企業のインテルを買収するのになぜ中国依存度が高まるのか。工場が中国にあるからだ。インテルのNAND型フラッシュ生産施設は中国遼寧省大連にある。網易ドットコムは「SKハイニックスが中国・無錫にDRAM1生産ラインを構築しただけに、今回のインテル工場買収とともにさらに多くの投資をするだろう」と予想した。SKハイニックスが中国の施設に資金を投じるので良いことということだ。

中国は本当にそのように考えるだろうか。

本心は違うだろう。なぜか? SKハイニックスがインテルから買収した事業を見てみよう。NANDだ。DRAMとともにデータを保存するメモリー半導体の両軸だ。DRAMと違いNANDは電源が切れてもデータがそのまま残る。データの保存と削除が自由だ。こうした特性のためスマートフォンの保存装置やPC・コンソールゲーム機に使われるソリッドステートドライブ(SSD)などを作るのに使われる。

この分野は中国が関心を持ってきた。もちろん中国はメモリーも非メモリーも区別せず半導体崛起を追求した。それでもNANDにもう少し力を入れる。独自生産の可能性が大きいとみるためだ。同じメモリー半導体でもDRAMより技術参入障壁が相対的に低いという評価を受けているのがNANDだ。中国としては世界的水準の生産能力を備えられる確率が他の分野より高いと考えられる。

実際に結果も出している。中国半導体メーカーの長江メモリーテクノロジー(YMTC)は4月に128層NAND「X2-6070」のサンプルを公開した。そして今年末に128層製品を量産すると明らかにした。128層はサムスン電子とSKハイニックスなどが現在量産している最高仕様の製品だ。YMTCの発表は自分たちの世界最高水準のNAND生産技術を確保したという宣言となる。

YMTCは中国のNAND型フラッシュ1位だ。湖北省武漢が基盤だ。中国清華紫光集団が国有企業XMCを買収し2016年に再設立した。清華大学が作った清華紫光集団は中国政府公企業と変わらない。2018年に習近平中国国家主席が半導体自立を宣言して訪問したのがYMTC工場だ。最高指導者が注目するため中国国営メディアが大量に報道し、集中投資水準の政府支援がなされるほかない。NAND分野で「打倒サムスン電子」「打倒SKハイニックス」を実現する期待株として注目されてきた。

それでも効果は振るわない。

半導体業界ではYMTCの128層技術を信頼していない。半導体で最も重要な歩留まりが検証されていないからだ。歩留まりは生産品のうち合格品の割合をいう。歩留まりが高いほど原料投入量に比べ市場で売れる商品が多く利益が大きくなる。半導体技術力評価の重要な尺度に歩留まりが挙げられる理由だ。

現時点ではYMTCの歩留まりはサムスン電子やSKハイニックスの水準に達していないものと評価される。莫大な投資を受けても世界水準の技術力はすぐにできるものではない。

そのためSKハイニックスのインテル買収は中国には手痛い。

中国が最もうまいことは何か。企業買収だ。独自の技術開発ができなければ検証された企業を買って技術を確保してきた。NAND分野でもインテルの技術力は認められる。

特にサーバーとPC、コンソールゲーム機などに使われ急成長しているSSD分野の強者だ。4-6月期のインテルのSSD市場での世界シェアは19.1%で、サムスン電子の31.2%に次いで2位だ。しかもインテルのNAND生産工場は中国・大連にあるではないか。もし中国政府の力を背にしたYMTCが買収したとならばどうだっただろうか。途轍もないシナジーを出しただろう。

だが絵に描いた餅だ。

インテルは米国企業だ。ファーウェイを制裁し半導体で利益を得た米国政府だ。中国の最大の弱点が半導体であることを実感した。もし中国がインテルのNAND部門買収に出たとしても米国政府が許可する可能性は大きくない。中国が舌打ちしながらSKハイニックスのインテル買収を見守るほかなかった理由だ。

買収が問題ではない。NANDそのものを作れないかもしれない。トランプ政権はファーウェイのようにYMTCも米国製半導体装備と技術を使えないように制裁する考えだ。ファーウェイのように米国の半導体技術を使えなければいくら資金をばら撒いても高級半導体生産は不可能に近い。この基調は11月の大統領選挙後も続く可能性がある。米CNBCは専門家の話として、「(大統領選挙で)バイデン候補が当選しても(中国との)技術問題は消えないだろう」と報道した。

◇中国にある工場なのに…

鬱憤に満ちた中国がSKハイニックスに「嫌がらせ」をすることもしれない。

日本メディアが特にこの可能性に注目した。日本経済新聞は、「SKは各国の独禁法当局の承認を得て2025年をメドに買収を完了する計画としている。ただインテルのNAND工場は中国・大連市にあり、半導体の国産化を推し進める中国政府の承認プロセスが難航する可能性もある」と報道した。

もちろんSKハイニックスがインテルNAND部門を買収すれば日本のキオクシア(旧東芝メモリー)を抜いてシェア2位に上がる状況を意識した日経の希望(?)混じりの報道かもしれない。

それでも内心は不安だ。

最近のBTS(防弾少年団)の受賞所感を批判した中国国営メディア、BTS関連商品の配送を中断した中国物流会社を見るとだ。2017年の限韓令で見るように、中国はいまや自分たちの核心利益が侵害されると考えれば迷うことなく韓国を困らせる。SKハイニックスによるインテルのメモリー部門買収、最終成功まではまだ山場がありそうだ。



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