瀬戸内海「きれい過ぎ」是正 水域設け対策、漁業影響防ぐ 法改正へ・環境省


 瀬戸内海の一部で海藻類などの栄養源となる窒素やリンといった「栄養塩」の濃度が下がり、養殖ノリの色落ちや、漁獲量の減少が起きている事態を受け、環境省は対策を講じる方針を固めた。

 栄養塩を増やす水域を設定できる新制度を導入し、「きれいになり過ぎた」(同省幹部)状況を是正、漁業への影響を防ぐ。

 来年の通常国会に瀬戸内海環境保全特別措置法(瀬戸内法)の改正案を提出する方向で検討中だが、議員提案になる可能性もある。

 瀬戸内法は、高度経済成長期に工場排水などで瀬戸内海の水質が悪化したことを踏まえ、1973年に制定。環境相が、赤潮の原因でもある栄養塩の削減目標を定め、これに基づいて各府県で下水処理場や工場の排水に規制をかけている。

 赤潮の発生は激減したものの、近年は一部水域で養殖ノリやイカナゴ漁に悪影響が出ている。一方、ハマチやタイの養殖水域では、赤潮の防止で引き続き栄養塩の積極的な除去が必要だ。

 このため、環境省は現行法の枠組みを維持しながら、新たに栄養塩を増やす水域を設定できるようにする考え。沿岸の府県や市町村は、濃度の目標値や計画を決めて対策を実施する。

 具体策としては、ノリの養殖が行われる秋ごろから翌春にかけて下水処理場の運用方法を調整し、排出する栄養塩を増やしたり、ダムやため池から放流して底にたまった泥から栄養塩を供給したりすることなどが考えられる。こうした取り組みは一部の自治体が既に実施している。新制度により、自治体がより対策を進めやすくし、各水域の状況に応じたきめ細かい対応を促す。

 この問題に関しては、超党派の議員連盟でも対策の議論が今後深まる見通しだ。 



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