転落巻き添え死 鍵カバー壊し屋上侵入か 大阪・梅田


転落巻き添え死 鍵カバー壊し屋上侵入か 大阪・梅田

 大阪・梅田の商業施設「HEP FIVE(ヘップファイブ)」から大阪府立高の男子生徒(17)が転落死し、兵庫県加古川市の大学2年の女子学生(19)が巻き添えになって死亡した事故で、男子生徒が屋上につながるドアの鍵に付いていたカバーを壊し、解錠したとみられることが25日、大阪府警などへの取材で分かった。鍵は非常時に備えて壊せる構造になっていたが、屋上での飛び降り防止措置はなかった。繁華街の高層ビルからの転落による巻き添え死はこれまでも起きており、管理面での課題が改めて浮かび上がった。

【写真】男性が転落し、女性に衝突した現場周辺

 府警などによると、ヘップファイブは9階までが営業フロアで、最上階の10階は関係者以外立ち入り禁止となっている。だが、男子生徒とみられる人物が23日午後6時前、従業員専用スペースに立ち入り、エレベーターで10階に上がる姿が防犯カメラに写っていた。

 10階から屋上に出るドアは普段施錠されており、内鍵はプラスチックカバーで覆われている。しかし、男子生徒の転落直後に施設関係者らが確認したところ、このカバーが壊されていた。施設を所有する阪急阪神不動産の担当者は「ビルの避難計画で屋上を火災時などの避難場所に指定しており、鍵のカバーは店内側から壊せるようにしていた」と話した。

 従業員専用スペースには鍵などがなくても入れるため、警備員や従業員の目に留まらなければ一般客でも屋上に出ることは可能。さらに、屋上には塀があるものの1メートルに満たないところもあり、飛び降りを防ぐ構造ではなかったという。

 屋上に通じるドアにはセンサーがあり、開くとブザーが鳴る仕組みだった。だが、警備員は1階にいるため、ブザーを聞いて屋上に上がるまで約3分かかる。今回も屋上に駆け付けたが、すでに人影はなかったという。同社は「従業員専用スペースに一般客が入れないようにする対策などを検討したい」としている。

 繁華街の商業施設から人が転落し、路上の無関係な人を巻き添えにする事故は過去にも起きている。

 東京都豊島区の「池袋パルコ」では平成19年、屋上から女性=当時(25)=が飛び降り、路上にいた男性=当時(38)=に直撃。いずれも死亡した。この女性も、ドア鍵のカバーを破壊して屋上に出ていたという。池袋パルコは事故後に屋上に向かう通路に警備員を常駐させるなどし、一般客が屋上に行かないよう対策を強化した。

 大阪市内の商業施設関係者は「繁華街のビルで飛び降りや転落事故があれば、無関係な人が巻き込まれる可能性は高く、厳しく管理する必要がある」と話している。



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