大阪市に隣接する2市、都構想実現なら「特別区を目指す」


大阪市に隣接する2市、都構想実現なら「特別区を目指す」

 「大阪都構想」の住民投票(11月1日投開票)の手続きを定めた大都市地域特別区設置法(大都市法)には、都構想が実現した場合、大阪市に隣接する自治体も特別区に移行できる規定がある。該当する大阪府内10市の市長に読売新聞がアンケートをしたところ、守口、八尾両市長が特別区を目指す考えを持っていることが判明した。住民投票の結果は、周辺自治体のあり方にも波及する可能性がある。(浦野親典)

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■議会で可決必要

 大都市法は、政令市と隣接市町村を含む人口200万人以上の地域で特別区を設置できるようにした法律だ。来月1日に賛否が問われる制度案は、大阪市を廃止して4特別区を新設する内容で、市民対象の住民投票で賛成多数になると、実現する。

 さらに同法の規定では、4特別区が設置される2025年1月以降、現在の大阪市に隣接する自治体も特別区への移行が可能で、堺、豊中、吹田、守口、八尾、松原、大東、門真、摂津、東大阪の10市が対象となる。

 実現までの手続きは、移行を希望する市と府で制度案をまとめ、府・市両議会で可決する必要がある。

 市を複数の特別区に分割する場合、議会可決後に住民投票を実施し、賛成多数となる必要があるが、市を丸ごと一つの特別区にする場合、住民投票は不要。これは市域が分割されなければ、住民生活への影響は少ないと考えられたためだ。

■2市は否定

 読売新聞がこれら10市長にアンケートをしたところ、松原市長を除く9人が回答。地域政党・大阪維新の会に所属する守口、八尾両市長が特別区移行の考えが「ある」と答えた。

 このうち、大松桂右・八尾市長は、八尾市の人口が約27万人にとどまることから特別区の数は「1区」を選択。西端勝樹・守口市長は「市域の成長と市民福祉の向上につながるなら特別区の議論を否定する必要はない」としつつ、「(区数は1区か複数区か)どちらともいえない」とした。

 ほかの7市長のうち、堺、大東、門真、摂津、東大阪の5人は、特別区移行について「どちらともいえない」を選択。永藤英機・堺市長と宮本一孝・門真市長は維新所属だが、永藤市長は「今任期中は都構想の議論はしない」、宮本市長は「特別区を目指す考えはあるが、具体的な制度設計や道筋が示されていない」とした。

 一方、豊中、吹田の2市長は特別区移行の考えは「ない」とした。豊中市では、特別区に移行すると、市税収入の最大5割超が他の区に分配されると試算。長内繁樹市長は「現在の市のサービスが維持できるか保証がない」と説明した。

 10市は政令市の堺市、中核市の豊中、吹田、八尾、東大阪の4市など権限や財源規模が異なり、特別区になった場合、府との間で権限や財源をどう分担するかは制度案の作成時に決めていくことになる。また、特別区移行の時期は早くても25年1月以降で、10市長の現任期以後となるため、方針は変わる可能性がある。



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