知的障害がある長女が自宅で三男(3)の腹を踏みつけて死なせてしまった事件。大阪地裁は9月、金城ゆり被告(24)に懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡した。8人家族のうち父親を除く成人3人に知的障害があり、カオス状態だった家の中で日常的に育児や家事が長女に押しつけられていた。(共同通信=真下周、斉藤彩)
▽「子供を産むだけ」募る不満
ゆり被告は1995年に生まれた。父親(46)は、得意先の会社の社員だった母親(43)と知り合い結婚した。当初は妻の障害を知らなかった。翌年には長男(23)が続けて生まれた。裁判資料によると、ゆりが5歳のころ、父親の暴力をきっかけに両親が別居。母親の育児能力の問題もあって、ゆり被告と長男は児童養護施設に数年間、保護されたようだ。ゆり被告は施設に預けられた日に「触るな」「きしょいんじゃ」「しばくぞ」の3語以外の言葉を発しなかったらしい。職員は「家庭内で言われた言葉をしゃべっている」との感想を抱いた。職員らとの関わりの中で少しずつ言葉遣いを覚え、甘えるようなしぐさも増えていったという。