群馬県を含む北関東で相次いだ家畜の窃盗事件で、新たなベトナム人グループの関与が浮上した。無許可で豚を解体したとして、太田市の技能実習生の22~32歳の男4人が、と畜場法違反容疑で逮捕された。県警はSNSへの投稿などから、入管難民法違反容疑で26日に逮捕した同市の別のグループ13人とも関係があるとみて調べている。
発表によると、4人は7月頃、同居する太田市由良町のアパートで、知事の許可を得ていないのに、食肉にする目的で豚1頭を解体した疑い。4人のうち一部は調べに対し「自宅で解体した」と容疑を認めている。と畜場法違反の適用は県内で初めて。
県警幹部によると、入管難民法違反の疑いで逮捕されたグループのメンバーが使っていたSNS上には、4人のアパートの外観と焼いた豚肉を同時に撮った写真が投稿されていた。盗難が明るみに出た夏以降に削除されたが、同様の写真が数か月にわたって複数回投稿されていたことなどから、県警は4人が解体を繰り返していたとみて調べている。
4人はそれぞれ2~3年前に来日し、東毛地域の同じ工場で実習。アパートの間取りは2DKで、実習先の寮という。県警は室内で豚肉14袋や牛刀など包丁5本を発見。肉は家庭用冷蔵庫の冷凍室にあり、台所では肉を洗ったとみられるボウルも見つかった。居間の床からは血液反応があり、豚の毛も検出された。28日には捜査員が3回目の捜索に入り、携帯電話なども押収した。
登校時にアパートの前を通るという男子高校生(17)は「1~2か月前に動物が腐ったような強烈な臭いがした」と怪訝(けげん)な表情で話した。近くに住む50歳代の会社員女性は「夏頃にアパートの駐車場で外国人7~8人がバーベキューをしていた。まさか部屋で肉を解体していたなんて……」と驚いていた。
◆と畜場法
牛や豚などの家畜を対象に、都道府県知事か、保健所を設置している市長の許可を得た「と畜場」以外で処理や解体をすることを禁じた法律。と畜場ごとに食品衛生管理者の設置を義務づけるなど、検査や管理方法を定めている。と畜場以外で家畜の処理や解体をした場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処せられる。