恒例行事として定着したハロウィーンが31日、本番を迎えた。毎年、多くの仮装姿の若者らで混雑する東京・渋谷では、新型コロナウイルスの感染拡大やクラスター(感染者集団)の発生が懸念され、渋谷区が参加自粛を呼びかけるなど異例のハロウィーンとなった。
【写真】昨年の渋谷ハロウィーンで仮装を楽しむ女性ら
晴天に恵まれた午後4時ごろ。週末の渋谷のスクランブル交差点付近は多くの若者らが往来。警視庁も機動隊員を導入し、周囲の様子に目を光らせた。しかし、滑り出しは、実際に仮装している人の姿はまばらだ。
アニメキャラクターの姿に扮し、通行人の撮影に応じていた千葉県市川市の高校2年の少女(16)はマスク着用の上、消毒液を持参してきたという。「コロナ対策に気をつけて楽しみたい」と話していた。
世田谷区の男性会社員(28)は、渋谷の大手ディスカウント店で仮面などを購入。もっとも、そのまま街に繰り出すというのではなく、夜は自宅で友人と過ごすという。「自粛の呼び掛けがあったので今年は家で気分だけでも味わおうと思う。おとなしく過ごします」
ハロウィーンをめぐっては、毎年、酒に酔った参加者らによるトラブルが相次ぎ、渋谷区は昨年6月、期間中の路上での飲酒を禁止する条例を施行した。それでも昨年のハロウィーンでは都迷惑防止条例違反(痴漢)などで約10人が逮捕され、今年も警視庁などが警戒を強めている。
ただ、新型コロナの感染拡大で状況は一変。渋谷区は感染防止などを図るため、来訪を自粛し、スマートフォンなどの専用アプリに登録すると参加できる仮想空間「バーチャル渋谷」での参加を呼び掛けた。この日もスクランブル交差点付近の大型スクリーンでは、著名人らが「今年のハロウィーンはバーチャルへ」などと語りかける映像が繰り返し放映された。