米大統領選挙でバイデン民主党候補の当選が有力になり、韓国・米国の株式市場が値上がりしている。大きな異変なく不確実性が解消されたためというのが、証券会社のリサーチセンター長らの説明だ。ホワイトハウスと議会の上下両院を民主党がすべて制する「ブルーウェーブ」は実現せず、むしろプラスになるという分析が出ている。民主党が推進する企業規制・増税案が上院で阻まれる可能性があるからだ。韓国国内のリサーチセンター長らに大統領選挙後の見通しを尋ねた。
◆「来年の韓国株価、2700台も可能」
5日、主要証券会社のリサーチセンター長らはバイデン候補に傾いた米大統領選挙結果は韓国・米国の株式市場にプラスの影響を与えると予想した。年末または来年まで株価上昇の流れが続く可能性が高いということだ。その結果、KOSPI(韓国総合株価指数)は来年、最高2750(KB証券のシン・ドンジュン・リサーチセンター長)まで上がる可能性があるという見方を示した。
未来アセット大宇のソ・チョルス・リサーチセンター長は「市場参加者は米大統領選という不確実性が解消されたことを前向きに見ている」とし「今年7-9月期のような急騰ではないとしても、企業の業績改善で緩やかな上昇が来年まで続くとみている」と述べた。株価上昇のもう一つの根拠は景気回復だ。キウム証券のキム・ジサン・リサーチセンター長は「今年の株式市場は流動性だけでも上昇が続いた」とし「来年は流動性より景気回復が本格化し、企業の実績が改善してKOSPIはさらに上がるだろう」と予想した。
トランプ米大統領の大統領選挙不服が変数として残っている。この変数が株式市場にどれほど影響を与えるかについては専門家の意見は分かれる。訴訟の長期化で市場に負担を与える可能性があるという見方と、票の再集計で結果が覆るレベルでないため市場は落ち着いて反応するという見方があった。
◆「ブルーウェーブならず、プラスに」
今回の大統領選挙で共和党が上院の過半数を占め、ブルーウェーブが起こらなかった点も重要なポイントだ。この状況はこれまで米ウォール街が当初「最悪」と見なしていたシナリオだ。バンクオブアメリカはこうした状況では浮揚策が上院を通過せず膠着状態となり、景気沈滞(デフレーション)を迎えるかもしれないと警告していた。
しかし市場は違う反応を見せた。韓国と米国の株価は大幅に上昇した。「市場は規制と増税の可能性が低下したことに注目している」と分析した。IBK投資証券のチョン・ヨンテク・リサーチセンター長は「共和党が上院で増税を阻止するという安堵感が市場に広がっている」と説明した。これは米国企業の業績にプラスの影響を及ぼす。KB証券のシン・ドンジュン・リサーチセンター長は「民主党が反独占経済政策を強行するのが難しくなり、環境規制を強化するのが難しくなった」とし「政治が経済に介入する余地が減った」と話した。これは米国だけでなく国内の大型ハイテク株にプラスに作用するという説明だ。
◆環境関連株上昇の予想は分かれる
専門家らは株価上昇の流れが全般的に維持され、非対面など今年の牽引株が来年も値上がりするという見方で一致した。ソ・チョルス・センター長は「産業環境の変化という流れがそのまま維持されるため、プラットホーム企業の成長は続くだろう」と述べた。また、有望株と呼ばれてきた非対面産業企業が本格的に利益を出すという見方も出ている。とはいえ、インフラなど景気循環・重厚長大銘柄が振るわないとは見ていない。NH投資証券のイ・チャンモク・リサーチセンター長は「グローバル経済が回復すれば、化学、運送、産業資材など幅広い分野が回復するはず」とし「この分野は株価が安いというメリットもある」と話した。
環境関連株については見方が分かれた。「トランプ大統領がこれまで背を向けてきたグリーン産業にプラスの環境が形成される」という意見と、「株価はブルーウェーブを反映しているがそれが実現しなかったことで、政策の推進がうまくいかず調整局面を迎える可能性がある」という意見があった。韓国国内市場では電気自動車バッテリー、太陽光関連株が反騰し、グリーン産業成長に対する期待を表した。
バイデン候補がホワイトハウスに入れば、米中貿易戦争にも前向きな影響を与えるという見方が多かった。これは韓国株式市場で不確実性の一つが減るという期待を高める。