ソウル汝矣島(ヨイド)KB国民銀行ディーリングルーム
民主党のジョー・バイデン候補が米国大統領に当選し韓国証券市場の上昇に対する期待感も高まっている。米大統領選挙に対する不確実性が解消された上に、ウォン高など韓国株式市場に友好的環境が形成されたという理由からだ。
◇不確実性解消+ブルーウェーブ消滅、見えるものはひとまず好材料
KOSPI指数は大統領選挙が行われた2日から5取引日連続で上昇した。米大統領選挙という不確実性が消えたためだ。教保(キョボ)証券リサーチセンター長のキム・ヒョンリョル氏は「だれになるかという結果よりは選挙イベントが終了し政策支援の混乱が除去され上昇できるという期待を株式市場が見せた」と話した。
大統領と上院・下院を民主党が占める「ブルーウェーブ」がなくなったことも当面は好材料と受け止められている。ビッグテック企業に対する規制と大規模増税が共和党が多数派の上院で阻止される可能性が大きくなったためだ。サムスン証券のソ・ジョンフン研究員は「上院は共和党が、下院は民主党が多数であるねじれ状態はもうゴルディロックス構図と認識される。大規模財政浮揚への期待が後退したのに比例して米大型ハイテク株に投影された規制圧迫もともに軽減された」と分析した。
◇ドル安で外国人投資家戻ってくるか
ウォン高ドル安傾向で外国人投資家が「売り」から「買い」に転じるという期待感もある。外国人投資家は今年に入りKOSPIとKOSDAQで27兆8145億ウォン相当を売り越したが、今月に入るとKOSPIとKOSDAQで2兆1250億ウォン相当を買い越した。不確実性解消によるリスク資産選好現象とドル安が反映された結果と解説される。
当分はドル安の流れが続く可能性も高い。米国の景気浮揚策が本格化し、すでに流動性が豊富な市場にドル供給がさらに増えることになる。KB証券のハ・インファン研究員は「共和党が上院の多数派となり規模は減るかもしれないが景気浮揚策は結局通過するだろう。ドル安環境が続き新型コロナウイルス感染者数がはるかに少ない韓国と中国のウォン高・人民元高が可能だろう」と話した。ハ研究員は「人民元高の時期には常に新興国・韓国関連上場指数ファンド(ETF)に大規模資金流入があった」と付け加えた。
◇「バイデン氏当選が韓国証券市場にはるかに肯定的」
このため韓国証券市場も当分は上昇するという分析が多い。ウリィ金融経営研究所は「バイデン政権の政策基調が韓国経済と金融市場に及ぼす影響と示唆点」と題する報告書で、「貿易量増大、国内景気回復、市場金利上昇に力づけられ輸出・金融銘柄を中心に2021年の株価指数は強気を見せる見通し」と分析した。サムスン証券のチョン・ミョンジ投資情報チーム長は「バイデン氏の当選が韓国の証券市場にははるかに肯定的。この4年間KOSPIが世界で最も疎外された証券市場のひとつだったという点でバイデン氏の当選により年末ラリーなど揺り戻しが起きるかも知れない」と予想した。
ただ新型コロナウイルスが再流行していることや、トランプ大統領の大統領選挙不服により不確実性が長期化しかねないとの分析もある。サムスン証券リサーチセンター長を務めた韓東大学ICT創業学科のキム・ハクチュ教授は「バイデン政権の増税基調が本格化しグリーンニューディールなど新経済への転換過程でシェール企業など伝統産業が厳しい状況に陥る場合、金融市場に大きな衝撃がくるかもしれない」と話した。
債券金利など市場金利は上がる可能性がある。バイデン政権の大規模財政拡大が米国の国債発行増加につながり、これは米国債の利回り上昇(債券価格下落)に続くと分析される。ハナ金融投資のチェ・ジョンウク研究員は「結局米国金利は景気浮揚策にともなう景気改善とインフレへの期待感が続き、速度の問題であるだけで徐々に上昇を続けるほかないだろう。グローバル金利と相関関係が高い韓国の国債金利も上昇する可能性が高い」と話した。