75歳以上の高齢者の医療費自己負担を1割から2割に引き上げる制度改正を巡り、政府は住民税が課税されていない6割弱の人は引き上げの対象外にする検討に入った。今後、所得の上位20~43%(年金収入のみの単身世帯モデルで年収約240万~155万円)の間で複数の線引きの案を議論し、12月に具体的に決める予定だ。
75歳以上の自己負担は原則1割で、現役並み所得(単身世帯で年収383万円以上)があれば3割(所得上位7%以上)だ。政府は一定所得以上がある1割負担の人を2割に引き上げる予定で、線引きを議論している。日本経済団体連合会などは収入の少ない住民税非課税世帯と現役並み所得者を除いた「一般区分」(全体の52%)すべてを2割にするよう求めていた。
ただし、高齢者本人が低収入で住民税非課税であっても、同居の家族が住民税を課税されているため一般区分に含まれているケースがある。75歳以上の15%(約270万人)が該当する。このケースについて「一定所得があるとは言えない」「自己負担を2割に引き上げると同居の家族にしわ寄せが来る」との批判があったことなどから、自己負担を1割に据え置く方向だ。【原田啓之】