【シンガポール=森浩】タイ国会は18日、憲法改正について与野党などが作成した提案の採決を行い、市民団体が提出した王室改革を可能とする案を否決した。市民団体案は国内で急速に拡大する反政府デモの参加者が支持しており、抗議活動がさらに激化することが予想される。
提案は、憲法改正の項目や進め方について意見を記載したもので、署名が集まれば民間の団体も提出できる。市民団体案は、王室に関する条文の改正や、軍が事実上議員を任命している上院の改革などを盛り込んでいた。採決では、プラユット政権を支持する親軍政党「国民国家の力党」議員が棄権に回ったことなどで否決された。
同日は、首都バンコクで大規模な集会が開かれ、参加した約1万人が否決に反発して抗議の声を上げた。
タイの反政府デモは、政権批判の急先鋒(きゅうせんぽう)だった野党「新未来党」に解党命令が出た2月から起き始め、7月中旬ごろから急速に拡大。参加者は、軍政下の2017年に制定され、軍や王室に有利な内容となっている憲法の改正を求めている。