ますます深刻化する韓国の負債状況
家計負債がこの1年間で110兆ウォン(約10兆円)ほど増加した。7-9月期だけで45兆ウォン近く増えた。四半期基準では過去2番目に多い金額だ。この中には生活資金需要もあったが金融会社から資金を借り入れて不動産購入や株式投資に出るケースも多かったものとみられる。
韓国銀行が24日に発表した7-9月期の家計信用資料によると、9月末の家計信用(家計負債)残高は1682兆1000億ウォンを記録した。7-9月期の家計信用増加幅44兆9000億ウォンは前四半期の25兆8000億ウォンよりはるかに大きくなった。
9月末の家計信用残高を1年前と比較すると109兆6000億ウォン(7%)増えた。経済が成長すれば家計負債が増えるのは自然な現象だが問題は増加速度だ。
韓国銀行のソン・ジェチャン金融統計チーム長は「政府の各種貸付規制にも住宅取引が活発で株式取引資金需要も多い。最近の家計負債増加速度に留意する必要がある」と話した。
家計信用は家計が金融会社から借り入れ資金(家計貸付)とクレジットカードなどで商品・サービスを購入してまだ返済していない販売信用を合わせたもの。7-9月期の家計貸付残高は3カ月前より39兆5000億ウォン増えた。種類別には信用貸付を含むその他貸付の増加額が22兆1000億ウォンで、住宅貸付増加額の17兆4000億ウォンより多かった。
7-9月期のその他貸付増加額は四半期基準では過去最高だった。昨年の年間増加額の23兆1000億ウォンに匹敵する水準だ。政府が住宅担保貸付規制を大幅に強化すると住宅資金が必要な人たちが信用貸付に集まるケースが少なくなかったものと分析される。
新型コロナウイルスの余波で一時急激に減ったクレジットカード使用額など販売信用は7-9月期に5兆4000億ウォン増えた。四半期基準で過去最大規模の増加幅だ。ソン氏は「新型コロナウイルスが長期化し非対面購入が増加した影響」と話した。
韓国政府は新型コロナウイルス危機が長引き、金融会社から借り入れた資金をまともに返すことができない企業・家計が増えかねないと懸念する。企画財政部の金容範(キム・ヨンボム)第1次官は24日のマクロ経済金融会議を主宰し、金融会社の健全性が悪化する可能性があると警告した。この日の会議には金融委員会、韓国銀行、金融監督院、国際金融センター関係者らが参加した。
金次官は「最近の新型コロナウイルスの感染再拡大で欧米などが経済封鎖措置を再開した。米連邦準備制度理事会(FRB)と欧州中央銀行(ECB)など主要機関で10-12月期以降の景気回復遅延の可能性を警告している」と伝えた。続けて「今後韓国の新型コロナウイルス拡散傾向が深刻化する場合には消費心理が再び萎縮する可能性も排除しにくい状況」と付け加えた。
金次官はまた、「9月末の銀行の貸付延滞率は0.3%で、2007年以降で最低水準。貯蓄銀行の貸付延滞率は3.8%で昨年末より0.1ポイント上昇するのにとどまるなどまだ良好な状況」と話した。その上で「新型コロナウイルス状況が長期化する場合、借主の債務償還能力悪化で金融会社の健全性が低下する可能性がある。先制リスク管理次元で金融会社自らが損失を吸収できる余力を補強するように誘導していく」と伝えた。