チュ・ミエ(秋美愛)法務部長官が24日、ユン・ソンニョル(尹錫悦)検察総長に対する懲戒を請求し、職務排除措置を下した。法務部長官の現職検察総長職務排除は韓国の憲政史上初めてのことだ。これは、法務部長官の職権ですることができる処分であり、秋長官が命令を下した瞬間から効力が発生する。
【写真】もっと大きな写真を見る
秋長官はこの日の午後、ソウル高等検察庁記者室で、予定になかったブリーフィングに直接出て、「非常に重い気持ちで検察総長に対する懲戒請求および職務排除措置を国民に報告せざるを得ない」と明らかにした。
法務部はこの日の午後5時21分に‘午後6時に監察関連ブリーフィング’があるとだけ記者らに知らせ、当初告知した場所のソウル高等検察庁2階の議政官が狭いということで1階記者室にブリーフィングの席を移した。秋長官が直接ブリーフィングをするという事実を告知したのは午後5時48分だった。午後6時5分に到着した秋長官は15分間‘伝達資料’を読んだ後、質疑応答を受けずに席を立った。
秋長官は「検察事務に関する最高監督者である法務部長官として、検察総長が検察総長職務を遂行することはもはや許されないと判断した」と述べた。
続いて「これまで法務部は検察総長に対する多くの不正嫌疑について直接監察を行い、その結果、検察総長の深刻で重大な不正嫌疑を多数確認した」と明らかにした。
秋長官は尹総長に関連し、△マスコミ各社の社主との不適切な接触事実、△チョ・グク元法務部長官事件など、主要事件の裁判所に対する不法査察、△チャンネルA事件およびハン・ミョンスク(韓明淑)元国務総理事件関連の側近保護のための監察妨害および捜査妨害、マスコミとの監察関連情報取引の事実、△検察総長の対面調査過程で協助義務違反および監察妨害事実、△政治的中立に関する検察総長の威厳と信望が深刻に損なわれた事実を確認したと明らかにした。
秋長官は尹総長に対する懲戒請求嫌疑の要旨も詳しく説明した。
まず、2018年11月ごろ、ソウル中央地検長だった尹総長は、ソウル市チョンノ(鍾路)区のある飲み屋で事件関係者であるJTBCの実質的な社主、ホン・ソクヒョン中央ホールディングス会長と会い、「公正性を損なう恐れがある不適切な交流」を行い、検事倫理綱領に違反したことを明らかにした。
また、2020年2月ごろに最高検察庁捜査情報政策官室で‘ウルサン(蔚山)事件’やチョ元長官関連事件など、主要事件の裁判部判事に関連し、捜査情報政策官室では収集できない裁判官の個人情報や性質の資料を収集して活用するなど、職務上の義務に違反したとも述べた。
チャンネルA事件については、「ハン・ドンフン(韓東勲)検事長に対する迅速な監察を妨害する目的で、正当な理由なく最高検察庁監察部長に監察を中止させ、6月4日付で専門捜査諮問団の招集を強行するなど、不当に指揮監督権を乱用し、職務上の義務に違反した」と指摘した。
韓元国務総理事件に関連しては、最高検察庁監察部が直接監察をしようとすると、最高検察庁人権部を経て、ソウル中央地検人権監督官室に移すよう指示するなど、総長権限を乱用し、職務上の義務を違反したという点を挙げた。チャンネルA事件の監察関連情報を外部に流出したとも付け加えた。
さらに秋長官は10月22日、最高検察庁の国政監査で尹総長が退任後、政治参加を宣言したものと解釈される発言をし、「結局、大多数の国民は検察総長を有力政治家、または大統領候補と考えるようになり、政治的中立に関する検察総長の威厳と信頼を喪失した」と述べた。
最近、法務部監察担当官室で監察調査日程の協議を要請したにもかかわらず、監察業務遂行に必要な協助事項に応じなかったため、法務部監察規定に違反した点も指摘した。
秋長官は「法令による監察調査に協力しなければならないのが公務員の当然の道理であるのに、総長が応じず監察調査を妨害したことに深い遺憾の意を表する」と述べた。
法務部は今回含まれなかった他の不正嫌疑などに対しても真相確認を続ける予定だ。
秋長官は「総長の不正を事前に予防できず、迅速な措置を取らず、これまで国民に多くの心配をかけたことに指揮・監督権者である法務部長官として大変申し訳ない」とし「今後、法務部は検事懲戒法が定めた原則と手続きに従い、厳正に懲戒手続きを行う」と明らかにした。
尹総長は直ちに法的対応を取り、反発した。
尹総長は、最高検察庁報道官室を通じて発表した文で「検察の政治的中立性を守るため、これまで1つの過ちもなく総長の任務を果たしてきた」とし、「違法・不当な処分に最後まで法的に対応する」と明らかにした。