米大統領選での敗北を認めていないトランプ大統領は2日、「広範な不正があった」などと主張する演説の映像を自身のフェイスブックに掲載した。根拠のない「不正説」に批判が高まり、政権に近いメディアですら報道を控えることが増えている。追い込まれたトランプ氏が支持者に直接訴える手段に出た形だ。
46分間にわたる演説はホワイトハウスで事前収録されたものとみられる。トランプ氏は「史上最も大切な演説になるかもしれない」と述べ、演説を開始。故人にも投票用紙が送られた▽集票システムが改ざんされた▽第三者の立ち会いなしに開票作業が行われた――など、いずれも立証されていない事例を列挙した。
民主党のバイデン前副大統領が勝利した結果に異議を唱えるトランプ陣営による法廷闘争は、各地で棄却や取り下げが続く。バー司法長官は1日、「選挙結果を覆す不正は見つかっていない」と明言。親トランプ政権のFOXニュースもトランプ氏の演説などの中継を「根拠のない主張だ」として途中で打ち切るケースが増えている。
またフェイスブックは、トランプ氏の映像掲載直後に「バイデン氏当確」を示す選挙情報ページへのリンクを掲載。トランプ氏が演説の抜粋を投稿したツイッターも即座に「この投稿の主張には異議が唱えられている」との警告文を表示した。【ワシントン高本耕太】