「ウイルスの拡大で世界観光業の雇用が1億~1億2000万件減少すると展望する」
「新型コロナウイルス(新型肺炎)が航空産業に及ぼした衝撃は第2次世界大戦以降、最大水準だ」
今月8、9日に韓国文化体育観光部・国土交通部主催で行われた「観光・航空回復戦略討論会」で出された診断だ。オンラインで行われたこの討論会には世界観光機関(UNWTO)、国際航空運送協会(IATA)関係者が出席し、今年1年間の観光分野の被害状況を決算する資料を発表した。今回の発表内容と単独電子メールインタビューを通じて世界の観光動向を点検する。
◆韓国政府予算の2倍蒸発したのと同じ
UNWTOの資料によると、海外入国者数は過去10年間で一桁数成長の勢いを継続し、今年に入って約7億人(1~8月)が減少した。昨年同期比70%減となる。急激な観光客減少は観光産業の大量失職事態につながっている。UNWTOのハビエル・ルエスカス専門委員は「全世界観光産業の直接雇用は1億~1億2000万件が消える」としながら「観光産業の被害額は9000億~1兆2000億ドル(約94兆~124兆円)に至る見通し」と明らかにした。2020年韓国政府予算(約512兆ウォン、約49兆円)の約2倍が蒸発したのと同じだ。
海外入国者数の急減は国ごとに国境封鎖に近い旅行制限措置を講じたためだ。下半期に入って旅行制限を緩和する国が増える雰囲気だ。ルエスカス氏は電子メールインタビューで「11月1日基準で世界70%の国が旅行制限令を緩和したが、25%程度は相変らず外国人の入国を事実上遮断している」と説明した。欧州が旅行制限を大幅に緩和した反面、アジア太平洋国家は概して強力な旅行制限基調を維持している。8月の海外旅行入国者数は全世界で平均79%減少した。アジア太平洋は平均値をはるかに上回る95%減となった。
◆ワクチン普及しても2024年ごろ回復
航空産業の被害も相当な規模にのぼる。IATAは2020年全世界旅客数が昨年より62%減って、売上は59%減少すると展望した。過去70年間、9・11テロや世界金融危機の時を除いて粘り強い成長を見せてきた航空産業は、第2次世界大戦以降で最も大きな被害を受けた。
航空業もアジア太平洋地域が最も被害が深刻だ。IATAのアジア太平洋地域担当ディレクターのVinoop Goel氏は中央日報との電子メールインタビューで「アジア政府の厳格な入国制限と自宅隔離方針のため」としながら「IATAは各国政府と自宅隔離をすることなく国境を開く方法について真剣に議論している」と話した。
ワクチン開発と普及が予想より早まり観光業界の期待が高まっている。ルエスカス氏は「ワクチンが普及すれば旅行者に対する信頼が高まり、国際観光も徐々に回復するだろう」としながら「しかし、旅行制限緩和や経済回復もワクチンに劣らず重要だ」と説明した。ルエスカス氏は続いて「ワクチンが世界に普及するまで待つことはできない」とし「各国政府や観光業界は厳格な防疫とコロナ時代に見合った新たな旅行方式で安全な旅行が可能なことを知らせなければならない。その次にワクチンは旅行の自信を付加する要素にならなければならない」と強調した。
IATAはより慎重な展望をした。Goel氏は「ワクチンが普及するとしても2024年になってこそようやくコロナ事態以前の水準に市場が回復するだろう」としながら「2021年航空産業被害規模を387億ドル(約4兆円)と展望する」と話した。IATAは2020年の世界航空産業被害額を129兆ウォン(約12兆円)と推定している。